接地抵抗計とは?3極法とクランプ式の違いと選び方の4つの軸
接地抵抗計を選ぶとき、最初に決まるのは測れる抵抗値の幅ではなく、補助接地棒を2本打てる現場かどうかです。
基本の測り方である3極法は、測りたい接地極から一直線に距離を取って補助極を地面に打ち込む前提になっていて、アスファルトや土間コンクリートで覆われた敷地では、その棒がそもそも入りません。
日置のFT6031やFT6380、共立電気計器のKEW4300と型番を並べて迷う前に、この条件を先に決めてください。
本記事では、接地抵抗計と絶縁抵抗計で測る対象がどう違うか・3極法と簡易法とクランプ式の使い分け・測定方式から機種を絞る手順を解説します。

GOOD DIY編集部
測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
接地抵抗計が測っているのは大地への電気の流れやすさ
接地抵抗計は、接地極と大地のあいだで電気がどれだけ流れやすいかをΩ(オーム)で表す計器です。
機器の金属部分を大地につないでおくと、漏電したときに電流が大地へ抜け、漏電遮断器が動作して人への感電や火災を防ぎます。
この逃げ道の良し悪しを数値にしたものが接地抵抗で、値が小さいほど電流が流れやすく、保護が働きやすい状態です。
接地抵抗は、接地極そのものの出来だけで決まるわけではありません。
埋めた土の質、含水の具合、接地極の長さと埋設深さ、接続端子の状態が合わさった結果が数値に出ます。
同じ場所でも梅雨時と真冬の乾いた時期では値が動くので、一度測って終わりにはできません。
絶縁抵抗計と取り違えない
現場で混同されやすいのが絶縁抵抗計(メガー)ですが、この2つは測っている向きが正反対です。
絶縁抵抗計は電路と大地が切れていることをMΩで確かめる計器で、値は大きいほど良好とされます。
接地抵抗計は接地極と大地がつながっていることをΩで確かめる計器で、値は小さいほど良好です。
どちらも「抵抗を測る」と言われますが、合格の向きが逆なので、数字の桁を見れば取り違えに気づきます。
両者の守備範囲は接地抵抗計と絶縁抵抗計の違いで解説しています。
3極法・簡易法・クランプ式で測れる条件が変わる
接地抵抗の測り方は大きく3タイプあり、どれを使えるかは現場の条件で決まります。機種のカタログで最初に見るべきなのもこの項目です。
| 測定方式 | 補助接地棒 | 接地線の切り離し | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| 3極法 | 2本を打ち込む | 原則として必要 | 新設時や竣工検査での正式な測定 |
| 簡易法(2極法) | 不要。既設の接地極を借りる | 必要な場合が多い | 補助極を打てない既設の建物 |
| クランプ式 | 不要 | 不要。通電したまま測れる | 多重接地された系統の定期点検 |
3極法が基本になる理由
3極法は、測りたい接地極に電流を流し、そのとき生じる電位の差から抵抗を求める方式です。
接地極・電位補助極・電流補助極の3点を一直線に並べ、取扱説明書が指定する間隔を取って補助極を打ちます。
手間は3タイプのうち最も大きいものの、対象の接地極だけを単独で評価できるため、工事の完了検査や報告書の数値はこの方式で取るのが基本です。
クランプ式は補助極の代わりに回路を使う
クランプ式は接地線をはさむだけで値が出ますが、これは測定対象以外の接地極が並列につながった閉回路を利用しているためで、単独接地の設備では正しい値になりません。
使える条件と使えない条件はクランプ式接地抵抗計の原理で解説しています。
なお、電流を測る一般的なクランプメーターとは中身の違う計器なので、形が似ていても代用はできません。
補助接地棒を打てない現場では接地抵抗計の使い方が変わる
市街地のキュービクルや既設ビルの屋上では、3極法に必要な距離を取れる土がありません。
このとき選ばれるのが簡易法で、すでに施工されている別の接地極を補助極の代わりに借りて測ります。
接地棒を打つ手間は消えますが、借りた側の抵抗値が測定値に上乗せされるため、結果は実際より高めに出ます。
高めに出るという性質は、裏を返せば判定に使いやすい面もあります。
簡易法で基準値を下回っていれば、本来の値はそれ以下だと考えられるためです。
反対に基準を超えた場合は、対象の接地極が悪いのか借りた側が悪いのかが分からないので、そこから先は3極法で測り直すことになります。
両方式で数値がどう動くかは3極法と簡易法の測定方法で解説しています。
補助極の打ち方そのものでも値は変わります。
浅すぎて土との接触が足りない、砂利の上に立てただけ、3点が直線に並んでいないといった状態では、計器が警告を出すか、不安定な数値が表示されます。
打ち込みから結線までの手順は接地抵抗計の使い方で解説しています。
選び方は測定方式から逆算して絞り込む
仕様表の項目は多く見えますが、判断の順番を決めてしまえば候補はすぐ絞れます。
1. 測定方式と、2台持ちにするかどうか
新設工事の検査を自分で出すなら3極法の機種が要り、受電したまま定期点検を回すならクランプ式が要ります。
両方の作業が年に何度もあるなら、兼用できる機種を探すより、3極法の1台とクランプ式の1台を分けて持つほうが運用しやすい場面もあります。
どちらを先に買うかは、報告書に載せる数値を自分が出す立場かどうかで決めてください。
2. 測定レンジと表示
低い値を細かく読みたいのか、広いレンジをざっくり見たいのかで必要な分解能は変わります。暗いピット内や盤の裏で読むならバックライトの有無、1人で測って記録まで済ませるならホールド機能や保存機能が作業時間を左右します。
3. コード長とケースの構成
3極法の機種は補助接地棒とコードが付属するセット売りが一般的で、コードの長さは製品ごとに違います。
敷地が広く補助極を遠くまで引く現場では、付属コードで届くかを先に確かめてください。
コードは消耗品に近く、被覆が割れたら交換します。
4. メーカーで絞る
国内で手に入りやすいのは日置電機と共立電気計器です。
シリーズ内の違いは測定方式と記録機能の有無に集約されることが多く、FT6031とFT6380の違いとKEW4300ほか共立の現行機でそれぞれ解説しています。
取扱いは販売店や時期で変わるので、在庫は購入前に確認してください。
測定値が基準を超えたときに疑うところ
接地抵抗の上限値は、接地工事の種類ごとに電気設備の基準で定められています。対象となる設備の区分で要求値が違うので、測る前に自分の現場がどの区分かを確認してください。
値が基準を超えたとき、いきなり接地極の増設に進むのは早すぎます。
まず測定側を疑ってください。
補助極の打ち込みが浅い、クリップが塗装の上をかんでいる、コードが断線しかけている、といった原因で数値は簡単に跳ね上がります。
計器の電池が弱っているときも値が安定しません。
測定側に問題がなければ、次は接地極側です。
土壌が乾燥する時期は値が上がりやすく、同じ場所でも季節で差が出ます。
埋設から年数が経った接地極では、腐食や接続部の緩みで抵抗が増えている場合もあります。
それでも下がらないときの対処は、接地極の増設や深打ち、接地抵抗低減剤の施工といった工事側の話になり、計器の選び方からは離れます。
接地抵抗計の点検と、買い替えを考える目安
カタログに載っている確度は出荷時の値で、落下や高温多湿での保管、経年で変わります。測定器は定期的に校正へ出すのが前提で、官公庁の仕事や定期点検報告が絡む現場では校正証明書の提出を求められることもあるため、取得日と次回予定を控えておいてください。
自分でできる確認もあります。
抵抗値の分かっている抵抗器を端子間につないで表示を見れば、大きく外れているかどうかは判断できます。
日常的にやるべきなのはコード類の点検で、プローブコードを両端で短絡させて導通を見れば、断線しかけたコードを測定前に見つけられます。
クリップの歯が摩耗して食い込まないものも交換の対象です。
買い替えに傾くのは、本体の表示が不安定になった場合と、修理費用が見積で高く出た場合です。
修理代は症状と機種で変わり、見積を取るまで確定しません。
保証期間内でも、落下や水濡れ、分解した跡があると有償扱いになるのが一般的なので、購入時の領収書と保証書は残しておいてください。
よくある質問
接地抵抗計で絶縁抵抗も測れますか
測れません。
接地抵抗計は接地極と大地のあいだのΩを測る計器で、電路の絶縁を確かめる役目は持っていません。
絶縁抵抗の測定には絶縁抵抗計を使います。
メガーという呼び名との関係や選ぶ軸は絶縁抵抗計とはで解説しています。
簡易法で出した数値は報告に使えますか
提出先の求める測定方法によります。
簡易法は補助極として借りた接地極の抵抗を含むため、実際より高めの値になる測り方です。
基準値を下回っていれば余裕があると判断できますが、正式な測定として3極法を指定されている場合は、そちらで測り直してください。
通電中の設備でも測れますか
クランプ式なら接地線をはさむだけなので、停電させずに測れます。
3極法では被測定極を電路から切り離すのが原則で、切り離せない状況ではクランプ式か簡易法を選ぶことになります。
活線に近い場所での作業になるため、保護具の着用と手順の確認を先に済ませてください。
測るたびに値が違うのはなぜですか
接地抵抗は土壌の含水率で動くので、雨の後と乾いた時期では差が出ます。
同じ日でも値が安定しないなら、補助極の打ち込み不足やクリップの接触不良、コードの断線を先に疑ってください。
計器の電池残量が少ないときも表示が揺れます。
まとめ
接地抵抗計は、接地極から大地への電気の流れやすさをΩで確かめる計器で、絶縁抵抗計とは合格の向きが逆になります。
機種を絞るときは、補助接地棒を打てる現場かどうかを先に決め、そのうえで3極法かクランプ式かを選ぶと迷いません。
測った値が高く出たら、接地極を触る前に補助極の打ち込みとコードの状態を確かめてください。
ぜひ本記事の測定方式の違いと選ぶ順番を参考に、自分の現場で使える1台を決めてください。



