接地抵抗計の中古は買いか|校正と付属品で見る4つの注意点
中古の接地抵抗計で最初に確かめたいのは、通電するかどうかではなく校正の記録が残っているかどうかです。
接地抵抗の測定は、D種接地工事なら100Ω以下という判定値に対して合否を出す作業なので、器差の分からない計器で測った数値は報告書の根拠になりません。
方式の取り違えも中古では起きやすく、3極法の機種とクランプ式では、補助接地棒を2本打つところから作業が変わります。
本記事では、接地抵抗計の測定方式の見分け方・校正証明書の扱い・欠品すると測定そのものができなくなる付属品を解説します。

GOOD DIY編集部
測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
接地抵抗計が測るのは接地極と大地の間の抵抗
接地抵抗計は、打ち込んだ接地極(アース棒)と大地との間にどれだけの電気抵抗があるかを測る計器で、表示の単位はΩです。
似た名前の絶縁抵抗計が電路と大地の間の絶縁状態をMΩ単位で見るのに対して、接地抵抗計は接地側の良否だけを見ます。
中古の商品ページでは両方が「アース測定」とまとめて書かれていることがあるため、型番から用途を確認してください。
2つの計器の役割の違いは絶縁抵抗計とメガーの関係で解説しています。
判定に使う値は接地工事の種類で決まっていて、A種とC種は10Ω以下、D種は100Ω以下が基準です。
C種とD種については、0.5秒以内に動作する漏電遮断器を施設した場合に500Ω以下まで緩和されます。
つまり一般的な低圧設備の点検で読み取りたいのは数十Ωから数百Ωの範囲であって、極端に広いレンジは要りません。
中古で古い機種を選ぶときも、測定レンジが足りないことはまずなく、見るべきは別の点になります。
中古の接地抵抗計は3極法とクランプ式のどちらか
外観が似ていても、この2タイプは測定の手順がまったく違います。先に自分がどちらを買おうとしているのかを決めないと、付属品の欠品が致命的かどうかも判断できません。
補助接地棒を打つ3極法
被測定極のほかに補助接地棒を2本、一定の間隔を空けて地面に打ち込み、電流を流して電位差から抵抗を求める方式です。
接地極を電路から切り離して測るのが前提なので、竣工検査のように回路を止められる場面に向きます。
土やアスファルトに棒を打てる場所が要るため、全面コンクリートの屋上などでは使えません。
接地線を挟むだけのクランプ式
接地線をクランプで挟むだけで測れる方式で、補助接地棒も結線の切り離しも不要です。
活線のまま測れる反面、多点接地された回路でないと原理上成立しないという条件があり、単独接地では正しい値が出ません。
この制約の理由はクランプ式が補助極を省ける仕組みで解説しています。
| 方式 | 測定に要るもの | 向く場面 |
|---|---|---|
| 3極法 | 補助接地棒2本・測定コード・打ち込める地面 | 竣工検査、単独接地の精密測定 |
| クランプ式 | 本体のみ(挟める接地線) | 通電中の定期点検、多点接地の設備 |
方式ごとの数値の出方の違いは3極法と簡易法で結果がどう変わるかで解説しています。
校正証明書のない中古は測定値の根拠を示せない
接地抵抗計の精度は、外から見ても動作音を聞いても分かりません。
器差を確かめる手段は校正だけで、校正証明書は「いつ時点で、どの基準に対して、どれだけずれていたか」を記録した書類です。
提出先のある点検では、使用した計器の校正記録を求められることがあり、記録のない個体で測った数値は報告書に添えられません。
中古の出品で「校正証明書付き」と書かれていても、校正日が数年前であれば現在の器差を保証するものではありません。
校正の周期は法律で一律に決まっているわけではなく、社内規定や提出先の要求で決めるのが一般的です。
自社の規定が1年周期なら、前回校正から1年を過ぎた個体は、買った時点で校正に出す前提で考えてください。
その校正費用は機種と依頼先で変わり、見積を取るまで確定しません。
本体の中古相場が安い側に寄っていても、校正を1回かければ総額が新品の入門帯に近づくことはあります。
校正に出すつもりなら、本体の安さだけで決めずに、その機種が今もメーカーで受け付けてもらえるかを先に確認してください。
補助接地棒と測定コードが欠けた個体は現場で使えない
3極法の機種は、本体だけ手に入れても測定できません。
補助接地棒2本と、長さの違う測定コードが揃って初めて3極法の結線が組めます。
中古では、ケースや棒だけが抜けた「本体のみ」の出品が珍しくないので、商品説明の付属品欄を1行ずつ照合してください。
コードは断線していても外観では分かりにくく、巻き癖の付いた部分や端子の根元から切れていることがあります。
導通を確かめられない状態で届いたときは、まず短絡させて指示が0Ω付近を示すかを見てください。
棒は消耗品として単体で売られていることが多く、コードも同じメーカーのものを後から足せる場合があります。
欠品が棒だけなら致命的とは限りません。
クランプ式は付属品が少ないぶん、欠品のリスクも小さくなります。
そのかわり本体のクランプ部そのものが測定素子なので、ここに傷や変形があると交換部品では済みません。
結線の組み方と測定の手順は補助接地棒の打ち方と測定手順で解説しています。
同じ型番でも中古の状態は電池室とクランプ部で差が出る
写真で判断できる範囲は限られますが、優先して見るべき箇所は決まっています。
電池室は、長く放置された個体ほど液漏れの痕が残りやすく、端子が白く粉を吹いていたり緑青が出ていたりすると接触不良の原因になります。
出品写真に電池室の内部がなければ、追加で撮ってもらえないか尋ねてください。
クランプ式は、挟む面(ジョー)の合わせ目に錆や打痕がないかを見ます。
この面がわずかに浮くだけで値が安定しなくなり、研磨で直せるものではありません。
3極法の機種では、端子まわりのがたつきと、ダイヤルやレンジ切替の節度感が確認の対象になります。
落下痕のある個体は、外装が無事でも内部の調整が狂っている可能性があり、校正に出してみないと分かりません。
防水・防じん仕様の機種でも、パッキンの劣化までは中古では保証されないと考えてください。
なお取扱いや在庫の有無は店舗と時期で変わるので、どの個体が手に入るかを前提に計画を立てないほうが安全です。
出品情報のどこに状態が書かれているか
確認する箇所は、型番・校正日・付属品一覧の3つです。
型番は本体前面か背面の銘板に印字されていて、ここが読める写真があれば、メーカーの製品ページで仕様と現行かどうかを照合できます。
校正日は証明書の写真か説明文に書かれ、記載がなければ「校正記録なし」として扱うのが無難です。
生産終了から年数が経った機種は、補修部品の保有期間が過ぎて修理も校正も受け付けられないことがあります。
中古を検討する前に、現行機の型番と価格帯を一度見ておくと、どこまで古い個体なら許容できるかの線が引けます。
日置電機ならFT6031とFT6380の違い、共立電気計器ならKEW4300ほか現行機の違いで解説しています。
方式そのものから迷っているなら、接地抵抗計の選び方の4つの軸から読んでください。
よくある質問
中古の接地抵抗計でも法定の点検に使えますか
使えます。
中古であること自体を禁じる決まりはありません。
ただし測定値を報告書に載せるなら、校正の記録が求められる場面があります。
提出先や自社の規定で校正周期が決まっている場合は、購入後に校正へ出してから使ってください。
校正は自分でできますか
できません。
基準となる標準抵抗器と、それ自体のトレーサビリティが必要になるため、メーカーまたは校正事業者に依頼してください。
簡易的な確認であれば、既知の抵抗を測って指示値のずれを見る方法はありますが、これは校正の代わりにはならず、記録としても扱えません。
中古を買うなら3極法とクランプ式のどちらが無難ですか
測る対象で決まります。
竣工時のように接地極を切り離して正確な値を出すなら3極法、通電中の設備を定期的に見て回るならクランプ式です。
単独接地の極をクランプ式で測っても値は出ないので、両方の現場があるなら3極法を先に揃えてください。
まとめ
中古の接地抵抗計で負担額を左右するのは本体の状態よりも校正で、記録のない個体は買ったあとに校正費用が乗ります。
方式を取り違えると現場で使えず、3極法なら補助接地棒と測定コードが揃っているかまで確かめる必要があります。
電池室の液漏れとクランプ部の打痕は、写真から拾える数少ない手がかりです。
ぜひ本記事の確認順を参考に、型番・校正日・付属品の3点を照合してから選んでください。



