レーザー距離計で測れないときは?黒い面とガラスの対処
ボタンを押しても数字が出ないことがあります。黒い幕板やガラス面に向けたときだけエラーが出ることもあります。レーザー距離計が測れない症状のうち、かなりの割合は本体の故障ではなく、測る相手の面から光が十分に戻ってきていないことで起きています。
屋外で点が見えなくなるのもこれとは別の話です。人の目の感度は555nm付近の緑色域でピークになり、赤色域の650nm前後では大きく下がるので、赤いレーザーは日差しの下だと目では追えなくなります。ただし点が見えないことと測れないことは同じではありません。
本記事では、レーザー距離計が測れない原因の切り分け・面や距離ごとの手当て・効果が薄い対処・点検に出す判断を解説します。

GOOD DIY編集部
測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
レーザー距離計が測れない原因は、測る相手の面に集まる
レーザー距離計は、照射した光が相手の面で散乱して戻ってくるのを受光窓で捉えて距離を出す仕組みです。そのため、戻り光が足りない面に当てると、本体がどれだけ正常でも数字は出ません。原因を本体の故障から考え始めると遠回りになります。
黒い面・光沢面・透明な面は戻り光が足りない
黒い塗装面やゴム、焼けたアスファルトは光を吸収するため、戻ってくる量が白い面より大幅に減ります。逆に鏡・磨いたステンレス・濡れた床のような光沢面では、光が正反射して本体に戻らない方向へ跳ねます。透明なガラスやアクリルは光が通り抜け、運よく数字が出ても測っているのはガラスの向こう側の壁です。金網や格子も、手前で一部が返るぶん値が暴れます。
距離と明るさで、測れる範囲はカタログより縮む
最大測定距離は良好な条件での値なので、屋外の直射日光下や、相手が黒い面・粗い面のときは、その半分も出ないことがあります。日差しは戻り光に紛れる雑光にもなるため、屋外では近い距離でもエラーが増えます。あわせて、電池の電圧低下、受光窓の粉じんや指紋、冷えた車内から暖かい室内へ持ち込んだときの結露も、戻り光を読めなくする側の原因です。
レーザー距離計の「測れない」と「値がおかしい」は原因が別
切り分けは室内で1分で済みます。白い壁から1mほど離れて正対し、そこで測れるかどうかを見てください。ここで正しい値が出るなら光学部も電源も生きているので、原因は測っていた面か距離か明るさの側にあります。
白い壁の1mでもエラーが出る、または表示自体が薄い・点かないなら、電池と受光窓を先に疑います。それでも変わらなければ本体側の不具合です。
数字は出るのに実寸と合わない場合は、別の筋道で考えます。手前のガラスや網、養生シートを測ってしまっているか、斜めに当たって斜辺を測っているか、基準点の設定が合っていないかのどれかが多いところです。基準点を本体の前端・後端・三脚ねじのいずれかに切り替えられる機種では、設定を変えると全ての測定値が本体長のぶんだけ一律にずれます。差が毎回同じ値なら、面ではなく設定を見てください。
原因別の手当ては、面・距離・電源の順に試す
測れない面には、測れる面を作って当てる
黒い面や光沢面が相手なら、面そのものを変えるのが確実です。専用のターゲットプレートがいちばん安定しますが、手元になければ白い養生ボードや画用紙、木端を相手の面に当てて、その表面を測れば値は返ってきます。ガラスは測らず、サッシ枠の内側や、ガラスに紙を貼った面を基準にしてください。鏡面に対しては正対させると光が真っ直ぐ跳ね返って安定しないことがあるので、紙を当てる手当てのほうが早く済みます。
距離を詰め、本体を固定する
遠い面でエラーが続くときは、いったん近づいて測れる距離を確かめ、そこから測り方を組み立て直します。手持ちでは点がぶれて狙った位置から外れるため、三脚に固定すると安定します。三脚を使うときは脚を開いてから本体を載せ、押して動かないか据わりを確認してください。屋外でどうしても点が追えない場合の手当ては屋外で日差しにより点が見えないときの対処で解説しています。
電池と受光窓を確認する
乾電池式なら新品のアルカリ電池に入れ替え、充電式なら満充電にしてから測り直します。送光窓と受光窓は、乾いた柔らかい布かレンズ用のクリーナーで拭き、研磨剤やシンナー類は使いません。結露しているときは、拭くより先に現場の温度になじませてから電源を入れてください。なお、レーザーの出口を直接のぞき込んだり、人の顔に向けたりしないことは、どの機種でも共通の前提です。
手当てしてもレーザー距離計が測れないなら点検に出す
白い壁・1m・室内という条件でも測れない、あるいは落下させた後から値が実寸と食い違うようになったなら、使用者側でできることは残っていません。気泡管や光学部のずれは叩いても戻らないので、メーカーの修理・校正に出す判断になります。
ここで負担額を左右するのは、修理代の相場ではなく保証の設計のほうです。タジマは1年間の無償修理と送料無料をうたっていますが、タジマへの製品登録が完了していることが条件で、登録がなければ有償対応になります。落下など使用者に過失がある場合は部品代のみの負担とされ、さらに1年間の盗難・火災補償として免責金額5,000円の自己負担で再購入できる仕組みも案内されています。ヒルティは購入から2年以内の故障を無償修理または製品交換とし、保証期間を過ぎても修理上限金額を設定していますが、製品により無償修理保証期間が異なり一部は1年間のため、レーザー機器がどちらにあたるかは確認が要ります。シンワ測定はシンワサービスセンター(0120-305143)が窓口で、修理費用の目安は公開情報に記載がありませんでした。
修理代と校正費用は機種と症状で変わり、見積を取るまで確定しません。領収書と製品登録を済ませてあるかどうかで無償か有償かが分かれるので、不調を感じた時点で書類を探しておくと手戻りが減ります。
やっても効果が薄い対処
ボタンの連打は、面が原因のときには何も変えません。10回押しても戻り光の量は同じなので、押す回数ではなく当てる面を変えてください。本体を叩くのも逆効果で、光学部のずれを増やすだけに終わります。
電池交換も、万能の手当てではありません。点はきちんと出ていてエラーだけが返る状態なら、照射できている時点で電源は足りているので、電池を替えても症状は変わらないほうが多いところです。単位をmとmmで切り替える、測定モードを変えるといった操作も、測れない原因が面にある限り結果は動きません。
見え方の対策として挙がるレーザーグラスも、測定の成否には関係しません。戻り光を読むのは本体の受光窓であって人の目ではないので、点が見えないまま数字が返ってくることも、点が見えているのにエラーになることも起こります。グラスが助けるのは、狙った位置に当たっているかを自分の目で確かめる作業のほうです。
測れない場面を減らすレーザー距離計の選び方
次に買い足すなら、最大測定距離は実際に測りたい距離より余裕のある機種を選んでください。カタログ値は良好な条件での数字で、黒い面や屋外ではそこまで届きません。ターゲットプレートを併用する前提の機種か、三脚に据えられるねじ穴があるかも、遠い面を測る頻度が高いほど差になります。
粉じんの多い現場で使うなら、防塵防水の等級も見ておきます。IP54は、粉じんの侵入を完全には防げないものの動作に支障がない程度で、かつあらゆる方向からの水の飛まつを受けても有害な影響がない等級です。受光窓の汚れは測れない原因の常連なので、現場向けの等級かどうかは実測の安定に関わります。
測れる距離と精度をどこまで求めるかという前段の整理はレーザー距離計の測れる距離と精度の選び方で解説しています。内装と躯体で必要な基準が変わる点については建築で使うレーザー距離計の選び分けが参考になります。
よくある質問
黒い壁や黒いサッシは測れないのでしょうか
当てる面を変えれば測れます。黒い面は光を吸収して戻り光が減るため、エラーになるか測定距離が極端に短くなります。白い紙や養生ボードを面に当て、その表面を測ってください。遠い位置ほど不利になるので、可能なら距離を詰めて測り直します。
ガラス越しに外の建物まで測れますか
正しい値にはなりません。光がガラスを通過するぶんと、ガラス面で返るぶんが混ざるため、手前のガラスを測るか、向こう側の面を測るかが安定しません。窓を開けて測るか、サッシ枠の内側など測れる面を基準に取り直してください。
落としたあとも数字が出ていれば、そのまま使って大丈夫ですか
数字が出ることと、その数字が合っていることは別です。既知の寸法(室内のドア幅やメジャーで測った距離)と突き合わせて、差が出ないかを確かめてください。一定の差が続く、または測るたびに値が変わるなら、メーカーの点検・校正に出す段階です。
まとめ
レーザー距離計が測れないときは、本体を疑う前に白い壁へ1mで当ててみると、面の問題か本体の問題かがその場で分かれます。面が原因なら紙やターゲットプレートで測れる面を作り、距離が原因なら詰めて固定し、そのうえで電源と受光窓を確認してください。それでも戻らなければ、保証の条件を確かめたうえで点検に出す判断になります。ぜひ本記事の切り分け手順と原因別の手当てを参考に、今その場で測れる状態まで戻してください。
