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フィッシャーの膜厚計はどれ?型番ごとの測定方式と向く用途

フィッシャーの膜厚計は、型番の数字ではなく頭に付くブランド名で測定方式が決まります。

DELTASCOPE DMP10(625-021)は鉄の上の皮膜を測る電磁式、ISOSCOPE DMP10(625-027)は非鉄の上の皮膜を測る渦電流式で、同じDMP10でも測れる素地が違います。

型番だけをメモして注文すると、届いた機種では自分の測りたいワークに反応しないという事態が起こりえます。

本記事では、ブランド名と測定方式の対応・DMPシリーズ6機種の違い・防食現場向けのMP0シリーズ・FMPシリーズとの関係を解説します。

GOOD DIY編集部

測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。

※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。

フィッシャーの膜厚計はブランド名が測定方式を示す

株式会社フィッシャー・インストルメンツは、ドイツのHelmut Fischerグループの日本法人で、本社とデモセンターが埼玉県草加市、営業所が名古屋と大阪にあります。膜厚計の専業メーカーとして測定方式ごとに製品ブランドを分けており、この分け方が他社との最大の違いです。

対応はこうなっています。

DELTASCOPEとPERMASCOPEが電磁式で、鉄・鋼など磁性金属の上に載った非磁性皮膜、つまり塗装・亜鉛・クロム・錫・銅・アルミを測ります。

ISOSCOPEは渦電流式で、アルミ・銅・真鍮など非磁性金属の上の絶縁皮膜、塗装やアルマイトが対象です。

DUALSCOPEはその両方を1台に持ち、素地を自動で見分けて切り替えます。

さらに位相感応渦電流式のPHASCOPE、電気抵抗式のSR-SCOPE、電解式のCOULOSCOPE、β線後方散乱式のBETASCOPEがあり、名前を見た時点で測れる相手が絞れる構成です。

電磁式と渦電流式では、そもそも素地の条件が反対になります。鉄に当てる前提の機種をアルミに当てても数値は出ないので、方式の違いそのものが曖昧なら膜厚計の原理と測れる素地の条件で解説しています。

DMPシリーズの6機種はベーシックとコンフォートに分かれる

ハンディタイプの主力が、2023年秋に登場したDMPシリーズです。末尾の数字が小さいDMP10とDMP20がベーシック、大きいDMP30とDMP40がコンフォートにあたり、方式の違いとグレードの違いが掛け合わさって6機種になっています。

型番測定方式グレード向いている人
DELTASCOPE DMP10(625-021)電磁式ベーシック鉄素地の塗装だけを測る
ISOSCOPE DMP10(625-027)渦電流式ベーシックアルミ素地の塗装・アルマイトだけを測る
DUALSCOPE DMP20(625-023)電磁式+渦電流式ベーシック鉄と非鉄が混在するが記録は不要
DELTASCOPE DMP30(625-022)電磁式コンフォート鉄素地中心でデータを残したい
ISOSCOPE DMP30(625-028)渦電流式コンフォート非鉄素地中心でデータを残したい
DUALSCOPE DMP40(625-024)電磁式+渦電流式コンフォート素地を選ばず検査記録まで運用したい

グレード差は通知と通信に出ます。

上下限値を外れたときの知らせ方が、ベーシックは光と音の2つ、コンフォートは光・音・振動の3つです。

PC接続はどちらもUSB Type-Cですが、Bluetoothが載るのはDMP30とDMP40だけなので、測りながらタブレットへ飛ばす運用を考えているならコンフォートを選んでください。

筐体はアルミ製で、付属ソフトはFISIQ Tになります。

素地と測る場所で変わる膜厚計の選び分け

鉄の塗装だけを測るなら電磁式で足りる

鋼構造物や鉄部の塗膜しか扱わないなら、DELTASCOPE DMP10かDELTASCOPE DMP30で用が足ります。

両方式を持つDUALSCOPEは便利な反面、使わない機能のぶんだけ上の価格帯になるので、素地が固定されている現場では電磁式の単機能機が噛み合います。

素地別の考え方は塗装の膜厚計を素地で選び分ける手順で解説しています。

アルミ・アルマイトならISOSCOPE

アルミサッシ、アルミ押出材、アルマイト処理品は渦電流式のISOSCOPEが対象です。素地が非磁性であることが前提なので、同じアルミ製品でも内部に鉄の部材が入る箇所を測るなら、そこだけ測定値が成立しません。

鉄と非鉄が混ざる検査はDUALSCOPE

受託加工や品質管理のように、持ち込まれるワークの素地が毎回変わる場合は、素地を自動判別するDUALSCOPEが前提になります。DMP20がベーシック、DMP40がコンフォートで、判定結果をデータとして残すならDMP40です。

めっき・基板は専用方式を見る

鋼の上のニッケル・亜鉛・銅や、プリント基板上の銅、鋼材への溶射アルミ(TSA)には位相感応渦電流式のPHASCOPE PMP10があり、測定範囲は1〜200μmと薄い側に振った設計で、小物や粗い面に向きます。

プリント基板表面の銅を裏面の銅層の影響を受けずに非破壊で測るなら、電気抵抗式のSR-SCOPE DMP30です。

こちらは名前にDMP30と付きますが、625番台のDELTASCOPE/ISOSCOPE DMP30とは別物なので、発注時に取り違えないよう注意してください。

防食の現場測定に振ったMP0シリーズ

橋梁、タンク、船舶といった防食塗装の現場測定向けが、MP0シリーズです。

構成は5機種で、プローブ一体型のMP0とMP0R、ケーブルプローブのMP0-FPとMP0R-FP、アングル付きケーブルプローブのMP0R-FPWに分かれます。

Rが付くものがコンフォート、付かないものがベーシックという整理になります。

測定範囲は方式ごとに決まっていて、DUALSCOPEが0〜2,000μm、ISOSCOPEが0〜1,200μm、PERMASCOPE(電磁式)が0〜2,500μmです。厚膜の防食塗装を扱うなら、この上限が選定の分かれ目になります。

ベーシックとコンフォートの差は、DMPシリーズより大きく開いています。

メモリはMP0とMP0-FPが1,000件、MP0R系が10,000件です。

さらにMP0R系だけがUSB転送、IMO PSPCとSSPC-PA2のプリセットモード、画面の自動回転に対応します。

MP0とMP0-FPはUSBもプリセットも持たず、測定タスクは1つだけなので、規格に沿った検査記録を出す必要があるならMP0R系から選んでください。

上位のハンディ機としてDUALSCOPE FMP100とDUALSCOPE H FMP150もあります。

FMP100はWindows CEのタッチパネルで、ペンでも指でも操作でき、溶融亜鉛めっきの上に塗装を重ねたデュプレックス皮膜を2層まとめて測って別々に表示できます。

FMP150はこれに磁気式を加えた3方式で、鉄鋼上の厚い金属皮膜や保護皮膜、非鉄・絶縁物の上のニッケル皮膜まで守備範囲に入ります。

FMP10〜FMP40を探して見つからないときの読み替え

従来のハンディ機はFMP10からFMP40までの4機種で、現在はDMPシリーズが後継にあたります。

検索でFMP20やFMP30の型番だけが出てきて現行のラインナップに見当たらない場合は、DMPシリーズに置き換わったと考えてください。

販売終了の時期は公式には確認できませんでした。

手持ちのプローブがある場合は、DMPシリーズに付属するFプローブアダプターを介せば従来のFMPシリーズのプローブが使えます。

DMPシリーズ自体はデジタルプローブを採用しているため、プローブ側の資産を引き継ぐかどうかで必要な付属品が変わります。

なお、型番にFMPが付いていてもDUALSCOPE FMP100とDUALSCOPE H FMP150は別枠の上位機で、FMP10〜FMP40とは位置づけが違います。

フィッシャーの膜厚計を注文する前に確認したい3点

  • 素地が何か。鉄なら電磁式のDELTASCOPEかPERMASCOPE、アルミや銅なら渦電流式のISOSCOPE、両方あるならDUALSCOPEです。ここを外すと機能差の話に進む前に使えません。
  • 測定範囲は本体ではなくプローブで決まる。DMPシリーズは皮膜と素地の組み合わせ、そして使うプローブで測れる厚みが変わるため、本体側に固定の測定範囲がありません。カタログの本体欄だけを見ても上限は分かりませんので、プローブの仕様とセットで確認してください。MP0シリーズは方式ごとに本体側の範囲が示されています。
  • 記録を残すかどうか。Bluetooth、振動通知、メモリ件数、規格プリセットはすべてコンフォート側の装備です。測って読むだけならベーシック、検査成績書まで運用するならコンフォートという分け方になります。

どの機種を選んでも、数値の信頼性は標準板を使った確認で担保します。導入後の運用は膜厚計の校正が必要になるタイミングと、ゼロ調整と測定点の取り方で解説しています。

よくある質問

DELTASCOPE DMP10とDMP30は何が違いますか

測定方式はどちらも電磁式で同じです。

違うのはグレードで、DMP10がベーシック、DMP30がコンフォートにあたります。

DMP30はBluetooth接続に対応し、上下限を外れたときの通知に振動が加わります。

手持ちのFMPシリーズのプローブはDMPシリーズで使えますか

DMPシリーズに用意されているFプローブアダプターを取り付ければ、従来のFMPシリーズのプローブが使えます。DMPシリーズの標準はデジタルプローブなので、どちらの構成で運用するかを発注時に決めておいてください。

鉄とアルミの両方を測るならどれを選べばよいですか

素地を自動で見分けるDUALSCOPEです。

ハンディならDUALSCOPE DMP20(ベーシック)かDUALSCOPE DMP40(コンフォート)、厚膜の防食塗装が中心ならMP0シリーズのDUALSCOPE仕様で、こちらは0〜2,000μmまで対応します。

素地ごとの機種選びは鉄とアルミで変わる塗装用膜厚計の選び方で解説しています。

車の塗装を測るのにも使えますか

鉄素地のボディなら電磁式、アルミパネルが混ざるなら両方式を持つDUALSCOPEが対象になります。測った数値をどう読むかは機種選びとは別の話で、車の塗装膜厚から板金歴を見分ける数値の読み方で解説しています。

国内に問い合わせ窓口はありますか

日本法人の株式会社フィッシャー・インストルメンツがあり、本社とデモセンターが埼玉県草加市、営業所が名古屋と大阪に置かれています。修理費用や校正料金は機種と内容で変わるため、見積を取るまで確定しません。

まとめ

フィッシャーの膜厚計で最初に決まるのは、DELTASCOPEかISOSCOPEかDUALSCOPEかという方式の選択で、数字の大小はその次です。

同じDMP10でも注文番号625-021と625-027では測れる素地が反対になりますから、型番を伝えるときは必ずブランド名を添えてください。

グレードは、記録を残すかどうかで分かれます。

測って読むだけならベーシック、Bluetoothや規格プリセットを使って検査記録まで回すならコンフォートです。

ぜひ本記事の方式とグレードの対応を参考に、自社のワークの素地から候補を絞ってみてください。

膜厚計そのものの基礎から整理したい場合は、膜厚計の測定方式と選び方の4つの軸で解説しています。

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