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熱式風速計とは?微風を測れる仕組みと使うときの注意

風速計を熱式にするかどうかは、精度の高さではなく、測りたい風がどれだけ弱いかで決まります。熱式は加熱したセンサーが風に冷やされる量から風速を求める方式で、羽根を回す力が要らないぶん、ベーン式では羽根が動き出さないような微風でも値が出ます。

一方、熱の移動量を手がかりにしている以上、周囲の空気の温度から影響を受けるため、温度表示を併せ持つ機種が多くなっています。表示単位はm/sが基本で、km/hやft/minへ切り替えられるかどうかは機種ごとに違います。本記事では、熱式の測り方・ベーン式と超音波式との使い分け・測定範囲と精度の表記がメーカーで揃わない理由を解説します。

GOOD DIY編集部

測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。

※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。

熱式風速計は加熱したセンサーの冷え方から風速を出す

熱式は、センサー部を周囲の空気より高い温度に加熱しておき、風が当たったときに奪われる熱の量を電気的に読み取る方式です。風が強いほど熱は速く奪われるので、加熱を保つために必要な電力や温度の下がり方が、そのまま風速の目安になります。熱線を使うものはホットワイヤー式と呼ばれ、センサーに小型の素子を使うタイプもあります。

この測り方には羽根もプロペラもないため、動き出すまでに必要な風の力というものがありません。ベーン式は羽根の軸受けの抵抗に打ち勝つ風が要るので、ごく弱い風では針も数字も動きませんが、熱式はその領域から値を返します。工場の環境測定や空調の吹き出し口の点検で熱式が選ばれるのは、測りたい風がもともと弱いからです。

センサー部が細い棒状のプローブになっている機種が多いのも、この方式の特徴です。羽根の直径ぶんの開口が要らないので、狭い隙間や小さな測定孔にも差し込めます。ただし細い部品が露出する構造なので、ぶつけたり曲げたりすると元に戻りません。持ち運ぶときはプローブを収納するか、保護キャップを付けた状態にしてください。

熱式・ベーン式・超音波式で測れる風が変わる

風速計の方式は大きく分けて4タイプあり、どの強さの風を、どこで測るのかで向き不向きが分かれます。

方式風速の読み方得意な風よく使われる場面
熱式加熱したセンサーが奪われる熱量弱い風工場の環境測定、空調の風量点検
ベーン式羽根の回転数中くらいから強い風屋外での作業前の確認、建物のメンテナンス
超音波式超音波の伝わり方の変化(可動部がない)向きを含めた風気象観測、据え置きでの連続計測
風杯(ふうはい)型風杯の回転数向きによらない水平の風気象観測

表のうち、手持ちで使う機種として店頭に並ぶのは熱式とベーン式の2タイプです。羽根の見えるものがベーン式、細い棒が伸びているものが熱式と考えると、見た目でおおよそ判別できます。羽根で測る方式の長所と苦手な風についてはベーン式風速計の解説で説明しています。可動部がない方式の価格差が気になる場合は超音波風速計の解説もあわせて読んでください。

測る場所と風の弱さから方式を絞る手順

方式を決める順番は、測る風の強さ、センサーを入れられる隙間、使い方の3段階です。

弱い風を測るなら熱式から検討する

吹き出し口まわりの気流、クリーンルームの風の流れ、局所排気の確認のように、人が肌で感じるか感じないかという風が対象なら、熱式が候補の先頭に来ます。反対に屋外で吹いている風や、作業の可否を判断するための風を測るのであれば、ベーン式でも十分に数字が動きます。

据え置いて測り続けるなら熱式以外も見る

熱式はセンサーを加熱し続ける方式なので、長時間の連続計測では電源の確保を考える必要があります。屋外に出しっぱなしにする観測では、風杯型や超音波式のように常設を前提にした機種が使われます。手持ちで測る場所を移動しながら使うのか、1か所に置いて記録するのかで、ここが分かれます。

風量の数値まで出したい場合は、測定面の寸法を入力して風量表示に変換できる機種かどうかを確認してください。風速だけ表示する機種では、後から自分で計算する手間が残ります。どこまで出せる機種を選ぶかはハンディ風速計の選び方で解説しています。

測定範囲と精度の表記がメーカーで揃わない理由

カタログに並ぶ測定範囲と精度は、同じ数字が書いてあっても比べられないことがあります。測定範囲は「どこまで表示が出るか」と「どこから精度を保証するか」が別で、下限付近の値は表示されても保証の外というケースがあるためです。熱式の売りである微風域を使うつもりなら、範囲の下限ではなく、保証の下限がどこからかを見てください。

精度の書き方も統一されていません。読み取った値に対する比率で書く方式と、測定範囲の上限に対する比率で書く方式があり、後者は弱い風を測るときの誤差が相対的に大きくなります。どちらの基準かはメーカーの仕様表の注記にしか書かれていないので、2機種を並べて比べるときは注記まで読んでから判断してください。

方式が合っていないと値は低い側へ外れる

測りたい風に対して方式が合っていないと、誤差ではなく傾向のある外れ方をします。ベーン式で微風を測れば、羽根が回り切らないぶん実際より低い値が出ますし、まったく動かずにゼロのまま止まることもあります。逆に熱式を強い風の中で使えば、機種の測定範囲を超えて頭打ちになります。測った値が妙にきれいに揃うときや、どこで測っても同じ数字のときは、方式と風が噛み合っていないと疑ってください。測る高さや平均の取り方でも値は動くので、手順そのものは風速計の使い方で解説しています。

熱式かどうかは仕様表のどこを見れば分かるか

商品ページで最初に見るのは、仕様表の「測定方式」または「センサー」の欄です。ここに熱線式、熱式、ホットワイヤーのいずれかが書かれていれば熱式で、ベーン、羽根、プロペラとあればベーン式になります。方式の欄がない商品ページでも、本体から細いプローブが伸びている写真であれば熱式と見てよく、丸い羽根が正面にあればベーン式です。

あわせて確認したいのは、測定範囲の下限、精度の基準、表示単位、温度の同時表示の4点です。温度を一緒に表示する機種が多いのは、熱の移動量で測る方式が周囲温度の影響を受けるためで、環境を記録する用途ではこの表示があると後から見返せます。単位は国内ではm/s表記が基本ですが、海外向けの機種はft/minやmphが既定になっていることがあり、切り替えの可否も仕様表に書かれています。

量販店の入門帯の製品では方式そのものが明記されていないこともあります。その場合は型番でメーカーの製品ページを検索し、そちらの仕様表で確かめるのが確実です。

よくある質問

熱式風速計は屋外の強い風も測れますか

機種の測定範囲の上限までなら測れますが、上限を超えると頭打ちになって実際より低い値を示します。また、熱式はセンサーが露出した構造のため、砂やほこりの多い場所、雨のかかる場所での常用には向きません。屋外の風を継続して記録するなら、風杯型や超音波式のように据え置きを前提にした機種を選んでください。

熱式とベーン式はどちらが精度が高いのですか

方式だけでは決まりません。弱い風の領域では羽根が回り切らないベーン式のほうが不利になり、強い風では熱式が範囲を外れます。測りたい風速が機種の保証範囲の真ん中あたりに入っているかどうかで比べるのが、実際に役立つ見方です。方式ごとの違いをひととおり見比べたい場合は風速計の方式の違いと選び方で解説しています。

風向きも一緒に知りたいときは熱式で足りますか

熱式の多くは風速と温度を表示する作りで、風向きの表示は持ちません。向きまで数値で記録したいのであれば、風向計を組み合わせた機種か、風向風速計として作られた製品が要ります。どういう現場で必要になるかは風向風速計の解説で説明しています。

まとめ

熱式を選ぶ理由は、加熱したセンサーの冷え方で測るために、羽根が動き出さないほど弱い風からでも値が出ることにあります。細いプローブで狭い隙間に入ること、周囲温度の影響を受けるため温度表示を持つ機種が多いことも、この方式から来ています。買う前に確かめるのは、測定範囲の下限ではなく精度を保証する下限がどこからか、その精度が読み値に対する比率なのか範囲の上限に対する比率なのかの2点です。ぜひ本記事の仕様表の見方を参考に、自分が測りたい風速が保証範囲の内側に収まる機種を選んでください。

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