超音波風速計とは?可動部がない方式の精度と価格の差
超音波式の風速計を選ぶかどうかは、精度の高さではなく、その場所に据え付けたまま測り続けるのか、持ち歩いて点検して回るのかで決まります。超音波式は向かい合わせに置いた素子の間で超音波をやり取りして風速を求める方式で、羽根の回転を数えるベーン式や、熱線の冷え方を見る熱式とは測り方そのものが違います。
日本カノマックスの技術解説や計測器商社の資料では、方式はベーン式・熱式・超音波式に風杯型を加えて整理されていて、どれかが上位という並びにはなっていません。本記事では、超音波式の風速計が測っているもの・方式4タイプの違いと向く使い方・仕様表の読み方を解説します。

GOOD DIY編集部
測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
超音波式の風速計が測っているもの
超音波式は、少し離して向かい合わせた素子から超音波を送り、相手側に伝わる速さが風によって変わることを利用して風速を求めます。風に乗る向きでは速く伝わり、風に逆らう向きでは遅れるので、その違いから空気の動きの速さを割り出す仕組みです。羽根も露出した熱線も使わないため、風を受けて動く部品がありません。
表示の単位は m/s(メートル毎秒)が基本で、1m/s は空気が1秒あたり1m動いている状態を指します。風量(ダクトや開口部を単位時間に通る空気の量)とは別の量なので、風速の数値をそのまま風量として読むことはできません。ハンディ機では風量の表示に対応する機種と対応しない機種があり、その違いはハンディ風速計の選び方で解説しています。
風速計の方式は4タイプに分かれる
方式名は仕様表の先頭に書かれていることが多く、ここが変わると測れる風の種類も使い方も変わります。計測器メーカーや商社の解説では、次の4タイプで整理されています。
| 方式 | 風速の測り方 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| ベーン式 | 羽根車が風を受けて回る回数を数える | ダクトや開口部でまとまった風を測る点検 |
| 熱式 | 熱した線が風で冷える度合いを見る | 吹き出し口のような弱い流れの測定 |
| 超音波式 | 素子の間を伝わる超音波が風で変わることを使う | 動く部品を持たせたくない測定や常設 |
| 風杯型 | お椀状の受風部が風で回る速さを見る | 気象観測のように屋外へ据える測定 |
この4タイプに上下関係はなく、測る対象で選ぶものです。ベーン式は羽根の面に風を当てて測るため向きの影響を受けやすく、その特徴はベーン式風速計の長所と苦手な風で解説しています。方式ごとの違いをまとめて確認したい場合は風速計とは何かを扱った記事から読むと、超音波式の位置づけも分かります。
超音波式を選ぶかどうかは設置の仕方で決まる
読者の条件から一意に決めるなら、見る順番は「据え付けるか手に持つか」「測る風が強いか弱いか」「風向きも要るか」の3つで、この順に当てはめると候補が絞れます。
据え付けて測り続けるなら超音波式が候補
気象観測や屋外に常設する測定のように、人が付かない状態で長期間動かす使い方では、風を受けて回る部品がないことがそのまま運用の差になります。超音波式は羽根の回転や風杯の回転に頼らないので、回転部の摩耗という保守項目が最初から存在しません。据え付けの場合は測る高さと周囲の障害物で値が変わるため、設置位置の決め方は風速計の使い方で扱っている測る高さと平均値の取り方で解説しています。
手に持って点検して回るなら方式は用途で選ぶ
工場の環境測定や空調の風量点検のように、測定器を持ち歩いて複数か所を回る使い方では、方式より測りたい風速域が先に決まります。微風に強いとされているのは熱線の冷え方で測る熱式で、まとまった風を開口部で測るならベーン式が選ばれます。風向きの情報まで必要かどうかは風速計の名称では判断できないので、風向風速計として売られているかを確認してください。
仕様表の数値がメーカーごとにそろわない理由
同じ超音波式でも、仕様表の書き方は製品ごとに違います。精度の欄ひとつ取っても、読み値に対する割合で書かれているものと、m/s の幅で書かれているものがあるので、数字の大小だけを並べても優劣は判断できません。比べるときは表記の種類をそろえ、そのうえで自分が実際に測る風速域での値を読んでください。
測定範囲は上限より下限を先に見ます。上限は多くの製品で足りていても、下限が自分の測りたい弱い流れより上にあると、その風域では数値が出ません。
名称のゆれも製品ごとにあり、超音波式風速計・超音波風向風速計・風向風速センサなど、同じ方式でも呼び方が統一されていません。風向きが出るかどうかは名称ではなく仕様欄の風向の行で確認するもので、風向まで測れる機種が要る条件は風向風速計の記事で解説しています。温度や湿度の表示を兼ねる製品では精度の行が項目ごとに分かれているため、風速の行を見ているかどうかも確かめてください。
方式を取り違えたときのずれと、仕様表で確認する欄
測る風に合っていないと数値が使えない
弱い流れをベーン式で測ろうとすると、羽根が安定して回る風を受けられず、無風なのか測れていないのかが見分けられません。逆に、微風用として選んだ熱式を屋外の強い風に当てても、測定範囲の上限を超えた先は読み取れないままです。超音波式を選んだ場合でも、下限が自分の用途に届いていなければ同じことが起きるので、方式名で安心せず範囲の数値を見てください。微風域の測定が中心なら、熱式風速計の仕組みと注意点を読んでから方式を決めたほうが遠回りになりません。
商品ページで見る欄は5つ
確認するのは、センサの方式・測定範囲(下限と上限)・精度の表記とその種類・風向の有無・電源の5つです。電源は乾電池式か内蔵充電池か、据え付け型なら外部電源が要るかで現場の運用が変わり、ここを外すと設置してから電源工事を追加することになります。屋外に出す製品では防じん防水の等級表記も仕様表に載っているので、常設するなら必ず目を通してください。商品ページに書かれていない項目は、メーカーサイトの取扱説明書やカタログのPDFに記載があります。
よくある質問
超音波式の風速計は他の方式より精度が高いのですか
方式が違うのは測り方であって、精度の順位ではありません。精度は製品ごとに仕様表へ書かれているので、読み値に対する割合なのか m/s の幅なのかをそろえたうえで、同じ風速域の値どうしを比べてください。
空調の吹き出し口のような弱い風も超音波式で測れますか
測れるかどうかは、その製品の測定範囲の下限で決まります。微風に強いとされているのは熱線の冷え方で測る熱式なので、弱い流れの測定が主目的なら熱式も候補に入れて、両方の下限を見比べるのが確実です。
作業を中止する風速の基準はカタログに書いてありますか
書かれていません。中止の判断は関係する規則や現場の安全管理の規程で決まるものなので、風速計の仕様とは別に、現場の管理者や社内の規程で確認してください。風速計が示すのは測った瞬間の値であり、判断に使うなら平均の取り方も合わせて決めておくことになります。
まとめ
超音波式の風速計は、素子の間を伝わる超音波の変化から風速を求める方式で、風を受けて回る部品がないぶん据え付けての測定に向きます。手に持って点検して回る使い方では、測りたい風が弱いか強いかでベーン式と熱式のどちらかが決まり、方式名だけでは選べません。仕様表では精度の表記の種類と測定範囲の下限、そして電源を先に見てください。ぜひ本記事の確認手順を参考に、自分の測る場所と風速域に合う1台を選んでください。
