ハンディ風速計の選び方|風量まで出せるかで決まる使い道
ハンディ風速計の「ハンディ」は、手で持って測れる大きさだという意味しかなく、測れる風の範囲も測定方式も表していません。値を左右するのは、羽根の回転数で測るベーン式か、熱線の冷え方で測る熱式か、可動部を持たない超音波式かという方式の違いで、室内の弱い気流まで測りたいかどうかでここが分かれます。
表示の単位にしても、風速で一般的なのは m/s ですが、km/h やノットに切り替えられる機種があり、表示桁を見ただけでは測定範囲は分かりません。本記事では、ハンディという表記が示す範囲・3タイプの測定方式と向く風・仕様表記がメーカーで揃わない理由を解説します。

GOOD DIY編集部
測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
ハンディ風速計の「ハンディ」は本体の持ち方しか示していない
ハンディは、手に持って測る携帯型という意味の呼び名であって、精度や測定範囲を区切る等級ではありません。対になるのは支柱やポールに取り付けて連続観測する設置型で、こちらは同じ場所の風を記録し続ける使い方になります。ハンディ側は反対に、測りたい場所へ持ち込んで、その時その位置の風を読む道具です。
実際の使い道は幅広く、気象観測のほか、建設現場の安全管理の指標、建物のメンテナンス、工場の環境測定、空調の吹き出し口での風量点検まで含まれます。どれも「測る位置が毎回変わる」という点で共通していて、だからこそ持ち運べる形が選ばれます。
なお風速だけでなく風が吹いてくる向きも記録したい場合は、ハンディの風速計では足りないことがあります。風向を測る仕組みを持つ機種の条件は、風向風速計が必要になる現場の条件で解説しています。
ベーン式・熱式・超音波式|ハンディ風速計の3タイプ
携帯型として売られているものは、測定部の仕組みで大きく3タイプに分かれます。ほかに風杯型(かざはいがた)と呼ばれる、お椀状の受風部が回転するタイプもありますが、こちらは屋外の定点観測で使われることが多い形です。
| 方式 | 測り方 | 向く場面 |
|---|---|---|
| ベーン式(羽根車式) | 風を受けた羽根の回転数から風速を求める | 屋外の風、現場での安全確認 |
| 熱式(熱線式) | 熱したセンサーが風で冷える度合いから求める | 空調の吹き出し、室内の弱い気流 |
| 超音波式 | 超音波の伝わり方の差から求める | 可動部の摩耗や破損を避けたい用途 |
ベーン式は羽根が回ってから値が出る
羽根の回転を風速に換算する仕組みなので、羽根が回り始めるだけの風が吹いていないと値になりません。裏を返せば、風がはっきり吹く屋外では構造が分かりやすく、測っている対象を目で確かめられます。羽根の直径による違いなど、この方式の得手不得手はベーン式が苦手とする風の条件で解説しています。
熱式は微風の側に強い
温めたセンサーが風で奪われる熱の量を見る方式で、可動部がないぶん弱い気流にも反応します。空調の風量点検のように、羽根では回らないほどの風を扱う作業ではこちらが前提になります。測定時のセンサーの向きなど注意点は熱式風速計を使うときの注意で解説しています。
超音波式は可動部がない
超音波が風上と風下で伝わる時間の差を使うため、回転する部品も熱線もありません。摩耗する部分がない一方、携帯型での採用は限られ、価格帯も上の側に寄ります。
測りたい風の強さから方式を決める
選ぶ順番は、測る対象の風がどれくらい弱いかから始めてください。空調の吹き出しや室内の気流のように、顔に当たるかどうかという程度の風を数値にしたいなら熱式です。羽根車は回り始める風速より下を測れないので、ここをベーン式で代用すると、ほぼ動かない表示を眺めることになります。
屋外で吹いている風を測るのが中心なら、ベーン式で足ります。建設現場での確認や建物まわりの点検はこちらに入り、携帯型の選択肢も最も多いタイプです。
そのうえで、砂じんの多い場所や長期間くり返し測る用途では、回転部や熱線を持たない方式が候補になります。価格差の理由を含めた比較は、超音波式の精度と価格の差で解説しています。風向まで記録する必要があるかどうかは、この方式選びとは別に判断してください。
風速計の測定範囲と精度の表記がメーカーで揃わない理由
同じハンディでも仕様表の見え方が揃わないのは、まず測定範囲の下限が方式で決まるからです。羽根が回り始める風速、熱線が温度差として検出できる風速は、それぞれ別の物理量に由来するので、下限の数字をそのまま横並びで比べても方式の違いを見ているだけになります。比べるなら、測りたい風がその範囲に入っているかどうかだけを見てください。
精度の表記も、読み取った値に対する割合なのか、測定範囲全体に対する割合なのか、あるいは一定の幅として書かれているのかで意味が変わります。仕様表の注記や単位の後ろに書かれた条件まで読まないと、同じ数字でも実際の許容差は一致しません。
もうひとつ揃わないのが、表示している値の種類です。瞬間値・平均値・最大値のどれを出すかは機種ごとに違い、測る高さや時間のとり方でも数値は動きます。値の取り方そのものは測る高さと平均値のとり方で解説しています。温度や湿度を併せて表示する機種では、風速の仕様と温湿度の仕様が別の行に分かれて書かれている点にも注意してください。
方式を外すと値が出ない風がある
測る風に対して方式が合っていないと、故障していなくても使えない状態になります。室内の気流をベーン式で測ると羽根が回らず、表示はゼロ付近から動きません。測れていないのか風がないのかを本体側で区別できないため、作業の判断材料になりません。
向きのずれでも値は下がります。ベーン式は羽根の面を風に正対させるのが前提で、斜めに当てると回転が落ちて低い値になります。熱式も同様に、センサー部を風上に向ける向きが決まっている機種が多く、その指定は取扱説明書に書かれています。
熱式のセンサー部は細く露出しているものが多いので、雨や砂じんにさらす使い方は向きません。屋外中心なら羽根車を持つ方式のほうが扱いやすく、逆に屋内の風量点検に羽根車を持ち込むと下限で止まります。どちらが上位ということではなく、測る風で使い分ける道具です。
ハンディ風速計の仕様はカタログのどこに書いてあるか
方式名は型番に現れないことが多く、商品ページでも仕様表ではなく特徴欄に「羽根車式」「熱線式」と書かれている場合があります。型番だけで方式を判断せず、本文の説明まで確認してください。
仕様表で見る行は、測定範囲・精度・分解能・表示項目・電源の5つです。測定範囲は測りたい風が収まっているか、表示項目は温度や湿度を含むか、電源は乾電池か充電式かをそれぞれ確認します。分解能は表示の刻み幅であって精度とは別の数字なので、混ぜて読まないようにしてください。
店頭で現物を見て決めたい場合は、置いている売り場が限られます。
よくある質問
ハンディ風速計で、作業を中止するかどうかの判断までできますか
測定器が決めるのは風速の値までです。どの風速で作業を止めるかはクレーンや足場に関する規則、現場ごとの作業基準で定められているので、その基準に照らして判断してください。測る高さや位置も基準側で指定されていることがあります。
風向も同時に測れる機種はありますか
携帯型の多くは風速と温度を表示するもので、風が吹いてくる向きは分かりません。向きまで必要なら、風向計を備えた機種を選ぶことになり、本体形状も据え付けを前提としたものが増えます。
安い機種と高い機種では何が違いますか
まず方式が違い、熱式や超音波式は上の価格帯に寄ります。加えて測定範囲の下限、表示できる値の種類(平均値や最大値を出せるか)、温湿度などの表示項目で差が付きます。測りたい風が弱いほど、安い側では届かなくなると考えてください。
まとめ
ハンディという表記からは本体の持ち方しか分からず、実際に測れる風を決めているのは方式です。室内の弱い気流なら熱式、屋外の風ならベーン式、可動部を避けたいなら超音波式という順で候補が絞れます。仕様表では測定範囲と精度の条件、そして表示している値が瞬間値か平均値かまで読んでください。ぜひ本記事の方式ごとの向き不向きと仕様表の読み方を参考に、測りたい風に合う1台を選んでください。
