デジタル照度計の選び方|測定範囲とセパレート型の利点
デジタル照度計を選ぶとき、数値で表示されるから正確だ、とはなりません。表示方式がデジタルでも測定値の信頼性を決めるのはJIS C 1609-1:2006の等級で、一般形AA級と一般形A級のどちらに準拠しているかで許容される誤差の幅が変わります。
事務所衛生基準規則では、2022年12月1日の施行以降、一般的な事務作業の作業面で300ルクス以上と定められています。この数字を点検記録として残す用途なら、表示桁数が3桁か4桁かよりも先に、仕様表の準拠規格の欄を見てください。本記事では、デジタルという表記が示す範囲・一般形AA級とA級の選び分け・製品ごとに階級の書き方がずれる理由を解説します。

GOOD DIY編集部
測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
デジタル照度計の「デジタル」が指すのは表示方式だけ
照度計でいうデジタルは、受光部が受けた明るさを数値で液晶に表示する形を指します。目盛と指針で読む形に対する呼び方であって、測定の仕組みや精度の等級を表すものではありません。表示が0.1ルクス刻みでも、受光素子の分光感度や余弦特性が規格の水準に届いていなければ、測った値は規格に沿った照度として扱えないからです。
単位はルクス(lx)で、照らされた面の明るさを表します。光源そのものが出す光の量はルーメン、ある方向への強さはカンデラで、それぞれ別の量です。照明器具の箱に書かれたルーメンの値を照度計で測って確かめることはできません。単位の関係は照度計の単位ルクスとは?ルーメンやカンデラとの違いで解説しています。
そのうえで、デジタル表示には実務上の利点があります。ホールド機能で数値を固定できれば、分電盤の中や天井付近など読み取りにくい場所でも、本体を引き出してから値を控えられます。最大値・最小値の保持や平均の表示を持つ機種なら、複数点を回る測定でも手元のメモが減ります。ただしこれらはすべて記録のしやすさの話であって、測定値そのものの確からしさは次の等級で決まります。
JIS C 1609-1の等級は一般形AA級と一般形A級の2つ
照度計の一般計量器としての規格は、2006年7月20日に制定されたJIS C 1609-1:2006です。ここで確認できる区分は一般形AA級と一般形A級の2つで、AA級のほうが要求される特性が厳しくなっています。計測器メーカーの比較資料では、直線性が1993年版の表示値±4%から2006年版で±2%に狭まったと説明されています。
| 等級の表記 | 求められる場面 | 選ぶ人 |
|---|---|---|
| 一般形AA級 | 一般照明用光源(JIS C 7801)や照明用白色発光ダイオード(JIS C 8152)の測定で、AA級に準拠した照度計の使用が要求されている | 光源や照明器具の性能を評価する人、試験成績として数値を出す人 |
| 一般形A級 | 規格側からAA級が指定されていない、現場の明るさ確認や日常点検 | 事務所や工場の照度を定期的に点検する人、作業環境を把握したい人 |
等級が書かれていない製品の扱い
通販サイトで売られているデジタル照度計には、測定範囲と分解能だけが書かれていて準拠規格の記載がないものがあります。これは等級が低いという意味ではなく、JIS C 1609-1との対応が示されていないという意味です。社内規程や法令に基づく記録に使うなら、仕様表にAA級またはA級の表記がある機種に絞ってください。等級ごとの許容差の幅は照度計のJIS規格|一般形AA級とA級で変わる許容差の幅で解説しています。
測る対象が決まれば照度計の等級とレンジも決まる
選ぶ手順は、測る対象を先に固定すると一意になります。光源や照明器具そのものを評価するならJIS C 7801やJIS C 8152がAA級準拠の照度計を求めているので、ここは迷いません。一方、事務所や工場の作業面を測るのであれば、規格側からAA級の指定はなく、A級で足ります。
基準となる数値も対象で変わります。事務所衛生基準規則は2021年の改正で作業面の照度を2区分にし、2022年12月1日から一般的な事務作業は300ルクス以上、付随的な事務作業は150ルクス以上となりました。改正前は150ルクス以上・70ルクス以上を含む3区分だったので、古い資料の数字をそのまま使うと判定を誤ります。情報機器作業のガイドラインでは、書類およびキーボード面における照度を300ルクス以上としています。
測定レンジは、測りたい値がその範囲の真ん中あたりに収まるものを選びます。300ルクス前後の判定が目的なら、下限が数十ルクスまで読めて、上限が数千ルクスまである機種が扱いやすい構成です。窓際や屋外に近い場所も同じ機器で測るなら、上限が数万ルクス以上まで届くかどうかを確認してください。測る位置の決め方と記録の残し方は事務所の照度基準は何ルクス?測る位置と記録のしかたで解説しています。
スペック表記が製品ごとにずれるのは階級の数え方が揃っていないから
照度計の等級は、資料によって書き方が一致していません。計測器メーカーの資料には一般形照度計の階級を3段階(AA級・A級・B級)とするものもあり、2段階としている資料との間で揺れがあります。選ぶ側としては、確認できる区分である一般形AA級と一般形A級のどちらが書かれているかを見れば足ります。
販売ページで「精密級」と表記された照度計を見かけることもありますが、この呼び方は現行JISの区分名としては確認できませんでした。精度が高いことを示す売り文句として使われている場合があるので、その言葉だけを根拠に選ばないでください。確かめるべきは、AA級かA級かという等級の表記と、測定範囲・分解能の3点です。
もう一点、JISに準拠していることと、校正や検定を受けていることは別の話になります。等級の表記は設計上どの水準を満たしているかを示すもので、個体が今その水準にあるかどうかは校正の記録で担保します。両者の違いは照度計の校正と検定の違い|どちらが必要かの見極めで解説しています。
デジタル照度計で等級を外すと記録が使えなくなる
等級を外したときの影響は、数値のずれよりも記録の扱いに出ます。事務所衛生基準規則では室の照明設備を6月以内ごとに1回点検することとされていますが、測定に使った機器の素性が説明できないと、記録として残した300ルクスという値の根拠が示せません。測り直しになれば、人を動かす手間がそのまま増えます。
逆に、必要のない等級へ上げても作業は楽になりません。AA級が求められるのは光源や照明器具の評価であって、作業面の明るさを月例で確認する用途ではA級で判定できます。上位帯の機種は専門店で扱われることが多く、入手までの時間もかかるので、用途に対して過剰なら安い側で足ります。
仕様表のどこを見るか
商品ページで確認する欄は4つです。準拠規格(JIS C 1609-1 一般形AA級/A級の表記)、測定範囲(レンジの下限と上限)、分解能(最小表示が0.1ルクスか1ルクスか)、そして受光部が本体と分離しているかどうか。受光部が分離型なら、机上に受光部だけを置いて本体を手元で読めるので、測定者の影が測定値に入りにくくなります。受光部の向きと高さで値がどう変わるかは照度計の使い方|受光部の向きと測る高さで変わる値で解説しています。
よくある質問
デジタル表示と指針表示はどちらを選ぶべきですか
記録を残す測定ならデジタル表示が扱いやすく、ホールド機能で読み取りにくい場所の値も固定できます。ただし表示方式は精度の等級と無関係なので、デジタルを選んだうえで一般形AA級かA級かを別に確認してください。
スマホの照度計アプリで代用できますか
作業環境の点検記録には使えません。スマホの環境光センサーはJIS C 1609-1の等級に準拠しておらず、受光部の分光感度や余弦特性が規定されていないためです。おおよその傾向をつかむ用途にとどまり、誤差の出方は照度計アプリの精度は?スマホで測るときの誤差の出方で解説しています。
測定範囲が広い機種を選べば間違いないですか
広いレンジは便利ですが、測りたい値がレンジの下端に寄ると最小表示の刻みが粗くなり、300ルクス前後の判定がしづらくなることがあります。測る対象の照度帯を先に決め、その値が範囲の中ほどに来る機種を選ぶほうが読みやすくなります。
まとめ
デジタル照度計の「デジタル」は数値表示という形の話で、測定値を支えるのはJIS C 1609-1:2006の一般形AA級または一般形A級という等級です。光源や照明器具を評価するならAA級が要求され、事務所や工場の作業面を300ルクス以上かどうかで判定する点検ならA級で足ります。「精密級」のような規格外の呼び方や、階級を3段階とする資料の揺れに振り回されないよう、仕様表の準拠規格・測定範囲・分解能の3つを見てください。
ぜひ本記事の等級の読み方と測定レンジの決め方を参考に、自分が測る対象から機種を絞り込んでください。照度計そのものの位置づけから確かめたい場合は照度計とは?JISの等級の読み方と選び方の3つの軸で解説しています。
