照度計アプリの精度は?スマホで測るときの誤差の出方
スマートフォンの照度計アプリが実測とどれくらいずれるのか、その差を調べても選び分けの答えは出ません。照度計の精度はJIS C 1609-1:2006が定める「一般形AA級」「一般形A級」という等級で表されるもので、アプリにはこの等級の表記がそもそも付いていないためです。
事務所衛生基準規則では、一般的な事務作業の作業面の照度が300ルクス以上と定められています。この300という境界の近くを測る場面では、出てきた数値そのものより、どの等級の器で測ったのかが問われます。
本記事では、JISの等級が照度計の何を保証しているのか・スマートフォンの環境光センサーで値がずれる原因・記録を残す作業でアプリが足りない理由を解説します。

GOOD DIY編集部
測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
照度計アプリの精度はJISの等級では表されない
照度計の性能は「誤差◯%」という一行では表されず、JIS C 1609-1:2006(照度計 第1部:一般計量器)が定める等級に当てはめて示されます。市販の照度計の仕様欄に「JIS C 1609-1 一般形A級準拠」のように書かれているのがそれで、受光部の分光感度や入射角による特性まで含めた総合的な評価です。
スマートフォンのアプリが使っているのは、本体の画面の明るさを自動調整するために載っている環境光センサーです。照度を測るための受光部として設計された部品ではないため、アプリの説明にJISの等級が示されている例は確認できませんでした。アプリ側で公開されているのは表示の分解能や測定レンジまでで、分光感度の補正をどう処理しているかは書かれていません。
そのため、アプリと照度計の違いは「どちらが何%正確か」ではなく、精度を評価する土俵に乗っているかどうかです。照度の単位そのものを確認したい場合は、照度計の単位ルクスとルーメンの違いで解説しています。
照度計の等級は一般形AA級と一般形A級の2つ
JIS C 1609-1:2006は2006年7月20日に制定された規格で、一般計量器としての照度計を一般形AA級と一般形A級に区分しています。計測器メーカーの資料にはB級を含めた3段階として説明しているものもあり、資料間で表記に揺れがあるので、ここでは確認できた2つの等級だけを扱います。
許容される誤差の幅は等級で変わり、上位のAA級ほど狭くなります。直線性については、計測器メーカーの比較資料で1993年版の±4%から2006年版で表示値の±2%に狭まったと説明されています。また一般照明用光源や照明用白色発光ダイオードの測定には、JIS AA級に準拠した照度計の使用が要求されています(JIS C 7801・JIS C 8152の引用)。
| 表記 | 何を表すか | 該当する人 |
|---|---|---|
| 一般形AA級 | JIS C 1609-1の上位等級。光源やLEDの測定規格で使用が要求される水準 | 照明器具や光源の性能を測り、数値を外部に提出する人 |
| 一般形A級 | 同規格の等級で、AA級より許容される誤差の幅が広い | 事務所や現場の照度を点検し、社内の記録に残す人 |
| 等級の表記なし | JISに照らした評価が示されていない。アプリの大半がここに入る | 自宅や机まわりの明るさを目安として知りたい人 |
等級ごとの許容差の幅をもう少し細かく見たい場合は、照度計のJIS規格と等級別の許容差で解説しています。
スマホの環境光センサーで値がずれる3つの原因
アプリの数値が基準器と合わない原因は、ソフトの作りよりも受光する側の条件に集まります。
受光部の向きと余弦特性
照度は面が受ける光の量なので、受光部を測定したい面と平行に置くのが前提になります。斜めから入った光を角度に応じて正しく減らして取り込む性質を余弦(よげん)特性と呼び、照度計の受光部はこの特性を持たせた形状で作られています。スマートフォンのセンサーは画面上部の小さな窓で、机上面に本体を置いてもカバーや手の影が入りやすく、向きを厳密に合わせられません。測る高さと向きによる差は、照度計の使い方と受光部の向きで解説しています。
分光感度の補正の有無
人の目は同じ強さの光でも波長によって明るさの感じ方が違うため、照度計は視感度に合わせたフィルタで補正しています。LED照明は波長ごとの強さの分布が蛍光灯や白熱電球と大きく違うので、補正が甘いと光源を替えただけで値が動きます。環境光センサーがどこまで補正しているかは公開されていないため、照明の種類が変われば差の出方も変わると考えてください。
機種ごとの個体差と校正の手段
同じアプリでも、載っているセンサーは機種ごとに別物です。照度計であれば基準器にたどれる校正で表示値を合わせ込めますが、アプリの場合は自分の端末の値がどちら向きにどれだけずれているかを知る手段がありません。照度計の校正と検定の違いでは、どちらが必要になる場面かを解説しています。
記録を残す作業ならアプリでは足りない
事務所衛生基準規則は2021年に改正され、2022年12月1日から作業面の照度が2区分になりました。一般的な事務作業は300ルクス以上、付随的な事務作業は150ルクス以上で、改正前の一般的な事務作業150ルクス以上・付随的な事務作業70ルクス以上という3区分から引き上げられています。情報機器作業のガイドラインでも、書類およびキーボード面の照度は300ルクス以上とされています。
さらに室の照明設備は6月以内ごとに1回の点検が求められるため、測った値は記録として残ります。基準値ちょうど付近で測ったとき、誤差の幅が合否を分けるのに、その幅を等級で説明できなければ記録の根拠になりません。社内の衛生管理や施主への報告で数値を出すなら、等級の表記がある照度計が前提です。測る位置と記録の残し方は事務所の照度基準と測定位置で解説しています。
反対に、自宅のデスクが暗い気がする、カーテンを開けたらどれだけ変わるのかを見たい、といった用途なら、アプリで明暗の傾向をつかむだけでも判断はできます。絶対値を人に示す必要があるかどうかで線を引いてください。
精度の表記は仕様欄のどこに書いてあるか
照度計の商品ページでは、測定範囲(レンジ)やホールド機能と並んで「準拠規格」「階級」の欄があり、ここに「JIS C 1609-1:2006 一般形A級」のように書かれます。この欄が空欄だったり、単に「JIS準拠」とだけ書かれて等級が示されていない製品は、AA級を要求される測定には使えないと考えてください。校正証明書が付けられるかどうかも、同じ仕様欄か付属品の欄に書かれています。
アプリの配布ページには等級の欄そのものがなく、レビューに書かれた比較結果が精度の裏づけになることもありません。表示レンジやデータの保存形式で選ぶ段階に進むなら、デジタル照度計の選び方で測定範囲とセパレート型の違いを解説しています。
よくある質問
照度計アプリは実際どのくらい正確ですか
ずれの幅を一般化できる公的なデータは確認できませんでした。機種ごとにセンサーが異なり、照明の種類でも差の出方が変わるため、ある端末で合っていた補正が別の端末で通用するとは限りません。明るくなったか暗くなったかの傾向を見る用途にとどめてください。
基準となる照度計と並べて測れば、アプリを合わせ込めますか
その場の光源と角度に限っては差を把握できますが、照明の種類や入射角が変われば差も変わるので、恒久的な補正にはなりません。校正は基準器にたどれる手順で行うもので、表示を合わせる作業とは別です。
照度計を買うなら一般形AA級とA級のどちらですか
光源や照明器具そのものの性能を測って外部に提出するならAA級が要求されます。事務所や現場の作業面を点検して記録に残す用途ならA級で足ります。照度計の等級の読み方と選び方で、用途ごとの目安を解説しています。
まとめ
照度計アプリと照度計の差は、数値のずれの大小ではなく、JIS C 1609-1の等級で性能を説明できるかどうかにあります。環境光センサーは受光部の向きを合わせられず、分光感度の補正も公開されていないため、等級に当てはめた評価そのものが示されていません。事務所衛生基準規則の300ルクス以上を確かめて記録に残すなら一般形A級以上、光源の測定で数値を外部に出すならAA級という線引きになります。ぜひ本記事の等級の読み方と仕様欄の確認箇所を参考に、自分の用途に足りる一台を選んでください。
