騒音計のA特性とC特性の違い|どちらで測るかの判断
騒音計のA特性は「人の耳に近い感度で音を測るための補正」であって、測り方の種類ではありません。同じ音を測っても、A特性なら低い音を大きく差し引き、C特性ならほぼそのまま拾うので、表示されるデシベル値がずれます。JIS C 1509-1:2017でもA特性とC特性の両方が規定されていて、環境騒音の評価で使うのはA特性です。dB(A)という単位表記を見たら、それはA特性で測った騒音レベルを指しています。本記事では、A特性が何を補正しているのか・C特性やF/Sとの使い分け・dB(A)表記の読み方と確認場所を解説します。

GOOD DIY編集部
測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
騒音計のA特性は低い音を差し引く補正
人の耳は、同じ音の強さでも周波数によって聞こえ方が変わります。低音域と超高音域では感度が落ち、1kHzから4kHz付近がいちばん敏感です。この耳の感度カーブを模して、周波数ごとに重み付けをしてから合計する仕組みが周波数重み付け特性で、そのうち最も広く使われているのがA特性です。
具体的には、A特性は低い周波数ほど大きく減算します。100Hzあたりの低音は数値としてかなり差し引かれ、1kHz付近は基準どおりに通ります。そのため、エアコン室外機のような低音が主体の音は、物理的な音圧エネルギーのわりにdB(A)の値が伸びません。反対に、金属のきしみや電子音のような中高音は、A特性でもほとんど減らないまま数値に乗ります。
「A特性で測ると実際より低く出るのでは」と考えるのは、物理量としては正しくても評価としては外れています。騒音の規制も苦情対応も、人がどれだけうるさく感じるかを問題にしているので、耳の感度に合わせた値のほうが実態に近いからです。JIS C 1509-1:2017(電気音響-サウンドレベルメータ(騒音計)-第1部:仕様)が規定する騒音計は、このA特性を備えていることが前提になっています。単に「騒音レベル」と書かれていれば、それはA特性で測った値だと考えてかまいません。
A特性とC特性は何を見たいかで使い分ける
JIS C 1509-1:2017ではA特性とC特性が規定されていて、騒音計の多くは切り替えスイッチかメニューで両方を選べます。C特性は低音域をほとんど減らさずに通すので、同じ音をA特性とC特性で測ると、低音が多い音ほど両者の差が開きます。
| 表記 | 意味 | こう使う人 |
|---|---|---|
| dB(A) | 耳の感度に合わせて低音域を減算した騒音レベル | 環境騒音・近隣の苦情対応・作業環境の測定をする人 |
| dB(C) | 低音域をほぼそのまま通した音圧レベル | 低周波音や重低音の寄与を切り分けたい人、機械の音源を追う人 |
| dB(A)とdB(C)の差 | 音に含まれる低音成分の多さの手がかり | 音の正体を推定したい人 |
実務では、まずA特性で測って評価値を出し、必要に応じてC特性でも測って差を見ます。A特性で60dB台なのにC特性では80dB近い、という結果なら、耳に届く音は大きくないのに低音のエネルギーが相当あるということです。振動として体に伝わる苦情は、こういう音で起きます。
F(fast)とSは時間の重み付けで、A特性とは別の設定
A特性と並んでFとSという表記が出てきますが、これは周波数ではなく時間方向の重み付けです。Fは応答が速く、音の変動をそのまま追います。Sは応答が遅く、変動をならして読みやすくします。環境省の騒音測定マニュアルでは、Ⅰ型は時間重み付け特性Sの騒音レベルを0.1秒以下でサンプリングして連続記録できるもの、Ⅱ型は積分平均型とする区分が示されています。A特性とSは同時に設定するもので、どちらかを選ぶ関係ではありません。
自分に必要なA特性の仕様は測る相手から決まる
まず、測った値を誰かに提出するのかを決めてください。条例や規制に基づく測定で数値を根拠として使うなら、JIS C 1509-1に適合した騒音計が必要で、等級はクラス1かクラス2のどちらかになります。計量法ではクラス1が精密騒音計、クラス2が普通騒音計にあたります。社内での目安や、自宅の音の大きさを把握したいだけなら、A特性が付いていることを確認すれば足ります。
次に、低音が主体の音を疑っているかどうかです。室外機や変圧器、地下の機械室など、ブーンという音が問題になっている場合は、C特性も切り替えられる機種を選んでください。A特性しか持たない簡易タイプだと、差を取る測り方ができません。
最後が記録の要否です。瞬間値を読むだけなら本体の表示で済みますが、時間を追って評価する場合は、等価騒音レベルの演算やデータの保存に対応した機種が要ります。デジタル騒音計の選び方では、測定範囲と記録機能から絞る手順を解説しています。等級そのものの違いを先に確かめたい場合は、騒音計のJIS規格とクラス1・クラス2の差のほうが近いです。
A特性の数値が製品ごとにずれて見える理由
同じ場所で2台の騒音計を並べても、dB(A)の表示は一致しないことがあります。原因はA特性そのものではなく、その周りの条件です。
- 等級が違う。クラス1とクラス2では許容される誤差の幅が異なり、とくに周波数の両端で差が出ます
- 時間重み付けの設定が違う。片方がF、もう片方がSなら、変動する音では表示が揃いません
- マイクの向きと高さが違う。壁や床に近いと反射が乗ります
- 校正の状態が違う。前回の校正からの経過や、落下の有無で基準がずれます
スマートフォンのアプリで測った値と専用機がずれるのも、マイクの特性と校正の有無が主な理由です。騒音計アプリの精度と専用機との差では、アプリで足りる場面と足りない場面の線引きを解説しています。なお、JIS C 1509-1に適合する騒音計が使えない場合は、JIS C 1502またはJIS C 1505に適合する騒音計を使ってよいという扱いが環境省の測定マニュアルに示されています。古い機器を引き継いだときは、この点を確認してください。
A特性を外すと測定値そのものが使えなくなる
C特性のまま環境騒音を測ると、低音が多い現場では数値が高く出ます。規制値と比べる場面でこれをやると、問題がないはずの音を過大に評価することになり、対策の方向まで狂います。反対に、低周波音の相談でA特性だけを見ていると、数値は基準内なのに苦情が続く、という食い違いが残ります。
時間重み付けの取り違えも同じです。断続的な作業音をFで読むと針が大きく振れて最大値ばかりが目に入り、Sで読めば平均的な水準に近い値が出ます。どちらが正しいかではなく、評価方法がどちらを指定しているかで決まります。測る前に、A特性・時間重み付け・測定位置の3つを紙に書いてから現場に入ると、あとで測り直しになりません。
測る位置そのものが外れていると、特性の設定が正しくても意味がなくなります。敷地境界で測るのか、室内で測るのかで数値は変わるので、騒音測定の目安と測る位置をあわせて確認してください。
dB(A)の表記はどこに書かれているか
製品の仕様表では、周波数重み付け特性の欄に「A/C」または「A特性、C特性」と書かれています。A特性だけの機種は「A特性」とだけ記載され、C特性の記述がありません。測定範囲の欄に「30〜130dB(A)」のようにカッコ付きで書かれている場合は、その範囲がA特性での値だという意味です。
本体側では、表示部に「A」「C」の文字が出るか、スイッチに刻印されています。測定を始める前に、画面のどこにAが出ているかを一度確認しておくと、設定が変わったまま測る事故を防げます。適合規格の欄に「JIS C 1509-1」や「IEC 61672-1」とあれば、A特性は規格が定める精度の範囲に入っていることになります。
ただし、これは出荷時の状態についての話です。騒音計は計量法の特定計量器で、技術基準は特定計量器検定検査規則で定まっており、2015年の改正でJIS C 1516が引用されるようになりました。手元の機器が今もその精度を保っているかは別の問題なので、騒音計の校正と検定の違いで、どちらが必要になるかを確認しておくと判断しやすくなります。
よくある質問
dBとdB(A)は何が違いますか
dBは音の大きさを表す単位そのもので、dB(A)はA特性で重み付けしてから求めたdBという意味です。カッコの中が特性の種類を示しているので、dB(C)ならC特性での値になります。単に「○○dB」とだけ書かれた騒音の数値は、文脈上ほとんどがA特性の値ですが、低周波音を扱う資料ではC特性のこともあるため、特性の表記があるかを確かめてください。
A特性しかない騒音計でも大丈夫ですか
環境騒音をdB(A)で評価するだけなら足ります。規制値との比較も、作業場の音の把握も、A特性で測った騒音レベルが基準です。困るのは、低音が主体の音で苦情が出ていて、A特性の値と体感が合わないときで、このときC特性との差を取れないと音の正体を絞り込めません。室外機や機械室の音を扱う予定があるなら、切り替えできる機種を選んでください。
スマートフォンのアプリでもA特性で測れますか
A特性と表示するアプリはありますが、端末のマイクの特性と校正の状態が分からないため、数値の確からしさは保証されません。目安として大まかな水準を知るには使えても、規制値との比較や記録として残す用途には向きません。測る回数が少なく機器を持っていない場合は、騒音計のレンタルと購入の分かれ目で、使う日数から判断する考え方を解説しています。
まとめ
A特性は、低い音を大きく差し引いて人の耳の感度に合わせる補正で、環境騒音をdB(A)で評価するときの前提です。C特性は低音をほぼそのまま通すので、両者の差を見れば音に含まれる低音成分の多さが推定できます。選ぶときは、数値を提出するのかどうかで等級を決め、低音が疑わしいならC特性の切り替えを確認し、時間を追うなら記録機能を見る、という順番で絞ると迷いません。ぜひ本記事のA特性とC特性の使い分けを参考に、手元の騒音計の設定表記を一度確かめてみてください。
