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巻尺のテープの材質|ガラス繊維とスチールで変わる精度

スチールのテープなら丈夫で精度が高い、とはなりません。巻尺のJIS規格は JIS B 7512(鋼製巻尺)で、機械計測のJIS一覧では現行版は2018年版。独立行政法人製品評価技術基盤機構の資料では、広幅巻尺とコンベックスルールもこの規格の試験対象に含まれています。

同じ鋼のテープでも、平らか湾曲かで用途が分かれ、校正証明書の出し方まで変わります。シンワ測定のフィットギアは湾曲テープのためJCSS校正の対象外で、受けられるのは一般校正までです。買う前に見るべきなのは「スチールかどうか」ではなく、テープの断面形状と目盛の等級表示の2つになります。

本記事では、スチール巻尺のテープ素材のタイプ・JIS1級表示が示す範囲・校正証明書を出せるテープの条件を解説します。

GOOD DIY編集部

測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。

※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。

スチール巻尺の「スチール」はテープの材質を指す

スチール巻尺という言い方は、テープ部分が鋼でできた巻尺全般を指します。JIS B 7512 は名称がそのまま「鋼製巻尺」で、試験対象には広幅巻尺とコンベックスルールも含まれるため、金属テープの製品は形が違っても同じ規格の枠内にあります。売り場で鋼製巻尺とコンベックスが別のコーナーに並んでいても、材質の話としては同じスチールです。

分かれるのはテープの断面です。コンベックスのテープは幅方向に湾曲していて、伸ばしても自重で折れずに真っすぐ保てます。この直立性があるので、一人で天井高を測ったり、離れた位置まで先端を送ったりできます。いっぽう鋼製巻尺のテープは平らで曲がりやすく、直線以外の長さを測るのに向いていて、テープ自体が長いぶん長距離も測れます。

素材が同じでも、できることがここで割れます。鋼製巻尺の等級や、鋼が温度で伸びる前提をどう扱うかは鋼製巻尺のJIS1級の精度と温度による伸びの扱いで解説しています。湾曲テープ側の仕様の見方はコンベックスとメジャーの違いと選び方の5つの軸にまとめてあります。

巻尺のテープ素材は大きく4タイプに分かれる

素材の表記は商品ページのスペック欄に必ず書かれているので、まずそこを見てください。鋼の上に何を乗せているか、あるいは鋼ですらないかで、使える現場が変わります。

テープ素材性質向いている人
スチール(鋼)金属テープの基本。湾曲させれば直立し、平らなら曲面にも回せる建築・内装・機械の寸法取り全般
ステンレスさびに強い。シンワ測定のタフギアHGシリーズはテープとバネがステンレスで水洗いできる水まわり・屋外・汚れる現場で使う人
ナイロンコートのスチール鋼テープの表面を樹脂で覆い、摩耗に強くしたもの。シンワ測定ではフィットギアが該当する出し入れの回数が多く、目盛の擦れを避けたい人
繊維製(グラスファイバーなど)柔らかく曲がる。鋼ほどの張りがない人体や衣服の採寸、曲面に沿わせる用途

コートの有無は目盛の寿命に関わる

シンワ測定のフィットギアとスマートギアを比べると、フィットギアはメートル目盛がJIS1級で、テープに摩耗へ強いナイロンコートを使っています。毎日何十回も引き出す使い方なら、印刷面が削れるまでの時間が変わります。逆に年に数回しか出さないなら、ここで価格を上げる意味は薄いでしょう。

繊維製は安い側で手に入りますが、鋼とは測れる精度の前提が違います。

巻尺の「JIS1級」表示はどこまでを示しているか

JIS B 7512 の等級は1級と2級の2つで、1級のほうが許容差が小さく設定されています。シンワ測定のコンベックスでは「メートル目盛がJIS1級」という形で表示され、製品ページにJISの記載がある機種とない機種が分かれます。記載がない機種が不良というわけではなく、JISマーク品として申請していないか、等級表示の対象外という意味で読んでください。なお1級の許容差の具体値は、規格票が有料のため確認できませんでした。

目量は7種類に決められている

JISマーク解釈集では、目量を 1mm・2mm・5mm・10mm・20mm・50mm・100mm のいずれかとすると規定されていて、規格外の目量を足した目盛はJISマーク品として認められません。「メートル目盛が」とわざわざ断ってあるのは、1本のテープに複数の目盛が入ることがあるからです。尺相当の表示は1尺を10/33mとして換算した値で、メートル目盛とは別の系列になります。

±0.3mmは0.6mmの幅を意味する

許容差の±表記は、プラス側とマイナス側の合計で読みます。シンワ測定の説明では、±0.3mmなら最大で0.6mmの差が出る計算で、実際の長さが10.8mmのときは10.5mmから11.1mmまでが精度の範囲内です。同社の直尺では ステン15cm が±0.15mm、シルバー1m が±0.20mm と公表されていて、いずれも20℃が基準温度になっています。鋼は温度で伸び縮みするため、真夏の屋外と空調の効いた室内では同じ道具でも条件が違います。

素材を取り違えると現場で起きること

平らな鋼テープを一人で使うと、伸ばした先が垂れて床に落ちます。テープが立たないので、端を押さえる相手か固定具のどちらかが前提になります。この固定の方法は巻尺を一人で測るときの端を固定する道具と押さえ方で解説しています。

反対に、湾曲テープのコンベックスで円柱の外周を測ろうとすると、テープが幅方向に反っているせいで面に密着しません。曲面や柔らかいものに回すなら平テープか繊維製を選んでください。繊維製を柱の芯墨取りや機械の据付に使うのは逆で、引く力で伸びるぶんの誤差が許容できない場面には向きません。

目盛そのものの読み違いも素材とは別に起きます。爪を押し付けて測るか引っ掛けて測るかで爪の厚さぶんの差が出るため、コンベックスには爪が前後に動く0点補正移動爪が付いています。ゼロ点がどこにあるかの考え方は巻尺の読み方とゼロ点の位置で解説しています。

校正証明書を出せるテープと出せないテープ

校正には JCSS校正 と 一般校正 の2つがあり、どちらに対応するかはテープの形状で決まります。シンワ測定のフィットギア(極立・ライトギアを含む)は湾曲テープのためJCSS校正の対象外で、一般校正なら対応できます。鋼製巻尺は同社では取り扱いがないものの、JCSS校正自体は受けている種類です。社内規定でJCSSを求められているなら、湾曲テープのコンベックスでは要件を満たせません。

対象かどうかは製品情報のアイコンで判別でき、アイコンがない製品は校正証明書を発行できません。証明書は通常の購入には付属せず、有償で別途依頼する形になります。有効期限は設定されておらず、校正周期の決まりもないので、使用頻度や社内のルールで間隔を決めてください。

買う前の確認場所は2か所です。パッケージまたは商品ページのスペック欄に「JIS1級」や等級の記載があるか、そして製品情報のアイコン欄に校正対応の表示があるかを見ます。どちらも書かれていない製品は、精度の根拠を自分で確かめる前提になります。

よくある質問

スチールとステンレス、どちらを選べばいいですか

水や汚れがかかる現場ならステンレステープの機種を選んでください。シンワ測定ではテープとバネがステンレス製のタフギアHGシリーズが水洗いできます。屋内の木工や内装中心なら、通常のスチールテープで足ります。さび対策のぶん選択肢と価格帯は狭くなるので、使う場所から決めるのが早いでしょう。

JISの記載がない巻尺は精度が低いのですか

低いとは限りません。JIS B 7512 の等級表示は申請して表示するもので、記載がない機種は等級表示を行っていないという意味です。参考として、金属製直尺のJIS規格は2mまでで、2mを超えるものはJISマークの表示がなくJIS規格に準じた検査で出荷されます。曲尺にはそもそもJISの等級がなく、シンワ測定は精度を100mmにつき0.1mm以下として公表しています。

尺目盛が入っているとJIS1級ではなくなりますか

シンワ測定の表示は「メートル目盛がJIS1級」という書き方で、等級が掛かるのはメートル目盛の側です。JISマーク解釈集で目量が7種類に限定されているため、併記された別系列の目盛まで同じ等級で保証するという読み方はできません。尺で寸法を拾う仕事なら併記品が便利ですが、精度の根拠として使うのはメートル目盛のほうだと考えてください。

まとめ

スチール巻尺という言葉はテープの材質を指すだけで、使い勝手を決めているのはテープが湾曲しているか平らかという断面の違いです。一人で寸法を拾うなら湾曲テープ、曲面や長距離なら平テープという分かれ方になり、同じ鋼でもJCSS校正を受けられるのは平テープ側だけになります。

精度の表示は、等級がメートル目盛に掛かっていること、±表記が合計で倍の幅を意味すること、基準が20℃であることの3つを押さえれば読み違えません。ぜひ本記事の素材タイプとJIS表示の見方を参考に、使う場所と求められる証明書から自分の1本を決めてください。

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