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膜厚計とは?電磁式と渦電流式の違いと選び方の4つの軸を解説

膜厚計を選ぶとき、最初に決まるのは測定レンジでも価格帯でもなく、塗膜の下にある素地が鉄なのか、アルミなのか、樹脂なのかという点です。

鉄の上の塗膜は磁石が吸い付く力を使う電磁式で測り、アルミや銅の上は渦電流式で測るため、素地が混ざる現場では両方式を1台に載せた複合タイプでないと測れない面が出てきます。

さらに、同じ「膜厚計」という名前で、塗膜ではなく鋼板そのものの肉厚を測る超音波厚さ計も売られています。

本記事では、電磁式と渦電流式の使い分け・素地別の選び方・測定値がばらつく原因と自己点検の手順を解説します。

GOOD DIY編集部

測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。

※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。

膜厚計とは何を測る道具か、似た名前の計測器との線引き

膜厚計は、素地の上に乗っている塗膜やめっき層の厚さを、削ったり切ったりせずに測る計測器です。

測定子(プローブ)を塗装面に当てると、μm(マイクロメートル、1000分の1ミリ)単位で数値が表示されます。

自動車の塗装は一般的に数十μmから100μm台、重防食の塗装仕様ではさらに厚い膜が求められるため、求められる管理値が合っているかを現場で確かめる用途で使われます。

紛らわしいのが超音波厚さ計です。

こちらは材料そのものの肉厚を測るもので、配管の減肉や鋼板の残存厚を調べるときに使います。

塗膜を測る膜厚計とは測定対象がまったく違うので、「厚さを測る機械」でひとくくりにして買うと目的の数値が出ません。

買う前に、自分が知りたいのが「上に乗っている層」なのか「材料そのもの」なのかを言葉にしておいてください。

もう一つ、膜厚計には乾いた塗膜を測るタイプと、塗ったばかりの濡れた状態を測るウェットゲージ(くし形ゲージ)があります。

くし形ゲージは歯を塗りたての面に立てて、塗料が付いた歯の位置から厚みを読む消耗品的な道具で、電子式の膜厚計とは使う場面が分かれます。

本記事で扱うのは、乾燥後の塗膜を非破壊で測る電子式のほうです。

電磁式と渦電流式、方式の違いが測れる素地を決める

方式の違いは、そのまま「測れる素地の違い」です。ここを取り違えると、どれだけ高価な機種を買っても数値が出ません。

電磁式(磁性金属用)

鉄や鋼、つまり磁石が吸い付く素地の上に乗った塗膜を測ります。

測定子と鉄素地の間の磁気的な引き合いが、塗膜が厚いほど弱くなる性質を使っているため、鉄骨・鋼構造物・自動車の鋼板・鋳物といった対象に向きます。

ステンレスは種類によって磁性があるものとないものがあり、SUS304のような非磁性のものは電磁式では測れません。

渦電流式(非磁性金属用)

アルミ、銅、真鍮、非磁性のステンレスなど、磁石が付かない導電性の金属が素地のときに使います。

高周波の磁界で素地に渦電流を起こし、その変化から塗膜の厚みを求める仕組みです。

アルミサッシやアルミホイール、アルミ製の車両部材を扱うなら、この方式がないと作業になりません。

複合タイプ(両方式を自動で切り替える)

測定子を当てた瞬間に素地を判別して、電磁式と渦電流式を自動で切り替えるタイプです。

鉄とアルミが混在する車体や、現場ごとに素材が変わる塗装業では、1台で済むぶん持ち出す道具が減ります。

方式ごとの原理と、そこから生まれる測定上の制約については膜厚計の原理と電磁式・渦電流式の違いで解説しています。

なお、素地が樹脂やFRP、木材のように金属でない場合、この2方式はどちらも使えません。樹脂上の塗膜を測るには超音波式など別の方式が要るので、素材が非金属なら候補が一気に変わります。

非破壊で測れる膜厚計の長所と、そのために生まれる制約

膜厚計の最大の利点は、仕上がった面を傷つけずに厚みが分かることです。

切片を取って顕微鏡で見る方法に比べれば、検査のために製品を1つ犠牲にする必要がなく、同じ面の何か所も測って分布を見ることができます。

塗装の検査記録を残す仕事では、この手軽さが前提になっています。

その代わり、測っているのは厚さそのものではなく、磁気や渦電流の変化という間接的な量です。

ここから制約が出てきます。

素地の材質が変われば同じ厚みでも指示値が動き、素地の板厚が薄すぎると電磁式では値が低く出ることがあります。

曲率も関係し、パイプのような曲面では平らな面と同じ条件で当たらないため、メーカーが指定する最小曲率半径を外れると誤差が増えます。

測定子の当て方が斜めになっただけでも値は変わります。

つまり、ボタンを押せば正しい数値が出る道具ではありません。

素地に合わせたゼロ調整と、条件をそろえた当て方が前提になります。

この手順を省くと、測っているようで測れていない状態になります。

塗装・自動車・めっき、用途別に向く膜厚計のタイプ

同じ膜厚計でも、求められる機能は仕事によってかなり違います。

建築塗装・鋼構造物の塗装管理

鉄素地がほとんどなので、電磁式の単機能機で足ります。

屋外で濡れた手でも押せるボタン、落としても壊れにくい筐体、測定値の平均や最小値を自動で出す統計機能があると記録作業が楽になります。

重防食仕様では膜厚が数百μmに達するため、測定レンジの上限を確認してください。

素地別の選び分けは塗装用膜厚計の測定方式の選び分けで解説しています。

自動車の板金・中古車の査定

鋼板とアルミパネルが混在する車種が増えているため、複合タイプが使いやすい場面です。

純正塗装の厚みと再塗装の厚みの差から修復の有無を推定する使い方をするなら、同じ面の複数点を素早く測れる機種が向きます。

数値の読み方は車の塗装を測るときの数値の見方で解説しています。

めっき・工業製品の品質検査

μm単位の小さい値を扱い、繰り返し精度が問われる領域です。

小径プローブや、測定子を交換して用途を変えられる機種、測定データをパソコンへ転送できる機種が選択肢に入ります。

この領域は専門メーカーの上位帯が中心で、フィッシャーの膜厚計の型番と測定方式で機種ごとの違いを解説しています。

膜厚計の選び方は、素地・レンジ・形状の順で絞る

見る順番を間違えると、候補が多すぎて決まりません。次の順で絞ってください。

順番確認すること決まること
1測る素地が鉄か、アルミなどの非磁性金属か、両方か電磁式・渦電流式・複合タイプのどれか
2想定する塗膜の厚みの上限と、読みたい最小単位測定レンジと表示分解能
3測る面が平面か、曲面か、狭所か一体型かセパレート型か、プローブの形状
4記録を残すか、その場で読むだけか統計機能・メモリ・データ出力の要否
5現場が屋外か屋内か防じん防滴の等級、表示の見やすさ

1番と2番を外すと、その機種では測れない面が出てきます。

3番以降は作業の速さや記録の手間に関わる部分で、使い込むほど差が出ます。

プローブ一体型は片手で扱えて持ち運びが軽く、セパレート型は本体を手元に置いたまま測定子だけを奥へ入れられるので、狭い場所や高所の作業に向きます。

μm表記の読み方と、管理値との照らし合わせ

膜厚の単位はμmで、1000μmが1mmです。

自動車の純正塗装はおおよそ100μm前後、建築の塗装仕様書では「標準膜厚◯μm以上」といった形で下限が指定されます。

数値だけを見ても判断できないので、読むときは必ず管理値とセットにしてください。

1点だけ測って合否を決めるのは避けたほうが安全です。

塗装は同じ面でも場所によって厚みが変わり、吹き付けの重なった部分と端部では差が出ます。

実務では1か所につき複数点測り、平均値と最小値の両方で判断するのが一般的です。

統計機能付きの機種が選ばれるのはこのためです。

海外製の資料では、μmではなくミリインチ系の単位で膜厚を表すことがあります。

1インチの1000分の1がおよそ25.4μmにあたるので、換算せずに数値だけ比べると桁を間違えます。

表示単位を切り替えられる機種なら、使う前にμm表示になっているか確かめてください。

測定値がばらつく原因と、標準板を使った膜厚計の自己点検

数値が安定しないとき、機械が壊れたと決めつける前に確かめる点がいくつかあります。

測定面に付いた汚れ・ほこり・さび、プローブ先端の摩耗、素地の裏側にある補強材や溶接部、周囲の強い磁場。

これらはいずれも指示値を動かします。

塗装面が完全に乾いていない場合も、測定子が沈み込んで薄く出ます。

点検は、付属の標準板(厚みが既知のフィルム)と、素地と同じ材質の無塗装板を使います。

まず無塗装板でゼロ調整をして、表示が0付近に落ち着くかを見ます。

次に標準板を同じ素地板の上に重ねて測り、表示が標準板の表示値に近いかを確かめます。

ずれが大きければ、調整をやり直すか、メーカーに点検を依頼してください。

カタログに書かれた精度は出荷時の値であり、落下や温度変化のあとはこの手順で自分で確かめる必要があります。

日常の確認と、正式な校正は別物です。

校正証明書が要る仕事なら、社内の点検では代わりになりません。

どういうときに正式な校正が必要になるかは膜厚計の校正と標準板による確認手順で解説しています。

よくある質問

膜厚計で樹脂バンパーの塗膜は測れますか

電磁式と渦電流式のどちらも、素地が金属であることを前提にしているため、樹脂バンパーには使えません。

車体を測るときは、鋼板やアルミパネルの部位と樹脂部位で測れる範囲が分かれると考えてください。

樹脂上の塗膜を測るには超音波式など別の方式に対応した機種が要ります。

安い入門帯の膜厚計でも実用になりますか

素地と塗膜厚の条件が合っていれば、おおよその厚みを知る用途には使えます。

ただし、繰り返し測って同じ値が出るかという安定性、曲面や薄い素地での補正、校正証明の発行可否は上位帯との差が出やすい部分です。

検査記録として数値を残す仕事なら、証明書を出せるメーカーの製品を選んでください。

機種ごとの比較は鉄とアルミで変わる機種の選び方で解説しています。

ゼロ調整は毎回必要ですか

素地の材質や形状が変わったときは、その都度やり直してください。

同じ対象を続けて測る場合でも、温度が大きく変わったときや、プローブを一度しまってから再開するときは確認したほうが安全です。

具体的な手順と測定点の取り方は膜厚計の使い方とゼロ調整の手順で解説しています。

塗膜の上にさらにワックスやコーティングがある場合、どう出ますか

測定子から素地までの間にあるものはまとめて厚みとして出るため、上に乗っている層も加算された値になります。塗膜だけの厚みを知りたいなら、測る前に表面の付着物を落としてください。

まとめ

膜厚計を決めるときは、測る素地が鉄なのか非磁性金属なのか、その両方が混ざるのかをいちばん先にはっきりさせてください。

ここで電磁式・渦電流式・複合タイプのどれになるかが決まり、残るのは測定レンジ、プローブの形状、記録機能の要否だけになります。

そして、どの機種を選んでもゼロ調整と当て方をそろえなければ数値は安定しませんから、標準板での確認を使い始めの習慣にしておくと安心です。

ぜひ本記事の選ぶ順番と自己点検の手順を参考に、自分の現場の素地に合う1台を絞り込んでください。

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