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膜厚計の原理とは?電磁式と渦電流式で測れる素地が変わる理由

同じ箇所を測り直すたびに値が変わるとき、疑う順番はプローブの当て方よりも先に、素地と測定方式の組み合わせです。

膜厚計は塗膜そのものを測っているのではなく、素地までの距離を電気的に読んで厚みに換算しているため、素地が想定と違えば数字は簡単に狂います。

電磁誘導式は鉄などの磁性金属を、渦電流式はアルミなどの非磁性の導電体を前提にしていて、前提から外れた素地では値が出ないか、それらしい数値を返しながら実際とずれます。

本記事では、2タイプの原理・ばらつきの原因の切り分け手順・原因別の手当て・効果の薄い対処を解説します。

GOOD DIY編集部

測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。

※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。

膜厚計の原理は磁気と渦電流の2タイプに分かれる

電磁誘導式は磁束の通りやすさを読んでいる

プローブの中のコイルに電流を流すと磁界ができ、その磁界が鉄などの磁性体の素地にどれだけ届くかで、コイル側に返ってくる電気的な変化が決まります。

塗膜が厚いほどプローブと素地が離れるので、返ってくる変化は小さくなり、その差を厚みに換算して表示します。

つまり測っているのは塗膜ではなく、磁性体までの距離です。

素地が鉄や鋼で、かつ十分な厚みがあるときに成り立つ原理だと考えてください。

渦電流式は素地に流れる渦電流の反作用を読んでいる

こちらは高い周波数の磁界でプローブ直下の導電体に渦電流を起こし、その渦電流が作る反作用でコイルのインピーダンス(交流に対する抵抗)が変わる量を見ます。

渦電流は電気を通す金属であれば磁性がなくても発生するので、アルミや銅のような非磁性の金属素地で使えます。

どちらの方式も素地の性質を利用した間接測定であり、素地が変われば同じ塗膜でも表示が変わります。

2タイプの違いと選び分けは膜厚計とは何かで詳しく解説しています。

樹脂やコンクリートが素地なら超音波式

素地が金属でない場合、磁気も渦電流も使えません。

この場合は超音波を送り、層の境界からの反射が戻るまでの時間で厚みを求める方式になります。

金属用の2タイプとは測定原理そのものが別なので、バンパーのような樹脂部品を金属用の機種で測っても数値は出ません。

値がばらつく原因は、原理と素地の食い違いで起きている

素地の磁性が想定と違う

いちばん多いのが素地の読み違いです。

ステンレスは種類によって磁性の有無が変わり、同じ板でも曲げや溶接の熱を受けた部分だけ磁性を帯びることがあります。

電磁誘導式と渦電流式を自動で切り替える機種でも、境目の素地では切り替わり方が安定せず、測るたびに別の値を返すことがあります。

ゼロ調整が別の条件で取られている

ゼロ調整は「この素地のこの形状なら表示ゼロ」という基準を作る操作なので、別の材質や別の曲率で取った基準を引きずると、全体が一定量ずれたまま表示されます。ばらつきではなく値そのものが高すぎる・低すぎる場合は、まずここを疑ってください。

素地が薄い、曲がっている、端に近い

磁界も渦電流も素地の内部にある程度入り込むため、素地が薄いと素地の裏側まで影響が抜け、同じ塗膜でも厚めに表示されます。

曲面ではプローブの先端と素地の距離関係が平面と変わり、エッジに近い位置でも素地の広がりが足りなくなって値が動きます。

加えて、素地表面がブラスト処理などで粗い場合は、山に当たるか谷に当たるかで数μmから数十μm単位の差が出ます。

原因の切り分けは、標準板と素地の確認で進める

手当てに入る前に、素地側の問題か機器側の問題かを分けてください。判断の目安は次のとおりです。

確かめ方結果考えられる原因
同じ一点を5回測る毎回違う値になる当て方か素地の形状・粗さ
同じ一点を5回測る値は揃うが実際とずれるゼロ調整か校正、または方式の不一致
未塗装部に磁石を当てる付かない渦電流式が要る素地。電磁誘導式専用機では測れない
厚い平板に標準板を載せて測る既知の厚みと合う機器は正常。素地の薄さ・曲率・端部が原因
厚い平板に標準板を載せて測る既知の厚みと合わないゼロ調整のやり直し、それでも合わなければ校正

標準板は膜厚が分かっているプラスチックのシムで、素地の上に載せれば「正しい答えが分かっている測定」を作れます。

これが合うかどうかで、機器を疑う段階に進むべきかが決まります。

確認の手順は膜厚計の校正と標準板での確認で解説しています。

なお、分電盤や機器の金属面を測るときは、無電圧であることを検電器で確かめてからプローブを当ててください。

原因別の手当て|ゼロ調整・測定点・プローブの順で直す

ゼロ調整は、測る相手と同じ素地で取り直す

調整に使うのは、これから測る部材と同じ材質・同じ厚み・同じ曲がり方をした未塗装面です。

現物に未塗装部がなければ、裏面や余材、同ロットの端材を使ってください。

曲面を測るなら曲面でゼロを取ると、曲率による差をあらかじめ含んだ基準になります。

測定点はエッジを避け、複数点の平均で読む

端や角、溶接ビード、ボルト穴の周囲は避け、平らな面の中央寄りで測ります。

1点で判断せず、狭い範囲で3〜5点を測って平均を出すと、素地の粗さによる上下が打ち消されます。

プローブは面に対してまっすぐ、同じ力でそっと置くのが基本で、押し込みながら傾けると接触角度が毎回変わります。

当て方と測定点の取り方は膜厚計の使い方の手順で解説しています。

素地が合っていないなら、機種側を変えるしかない

鉄とアルミが混在する現場では、どちらか専用の機種を使い続ける限りばらつきは消えません。

両対応の機種に替えるか、素地ごとに使い分けてください。

素地別の選び分けは塗装の膜厚計を素地で選ぶ考え方で解説しています。

膜厚計で効果が薄い対処と、修理を考える目安

プローブを強く押し付けても値は安定しません。

原理上、距離が変わるのは塗膜が潰れるほどの力をかけたときだけで、通常はコイルの位置が傾くぶんだけ誤差が増えます。

同じ点を何度も測って、それらしい値を採用するのも手当てになりません。

ばらつきの幅を見れば原因の見当がつくのに、都合のよい1点だけを残すと素地の問題が隠れます。

表示が消えたり点滅したりしていない限り、電池交換も関係が薄いです。

工場出荷状態へのリセットについても、素地や形状が原因のずれは戻りません。

標準板で合わず、ゼロ調整と校正をやり直しても既知の厚みを再現できないときは、プローブ先端の摩耗や内部の損傷を疑う段階です。

先端は当て続ければ減る消耗部位で、球面が平らになると接触位置が安定しません。

修理や校正の費用は機種と症状で変わり、見積もりを取るまで確定しないので、購入店かメーカーの窓口に症状と測定条件を添えて問い合わせてください。

落下や水濡れの痕があると、保証期間内でも有償扱いになるのが一般的です。

よくある質問

鉄とアルミで表示が大きく違うのはなぜですか

測定原理が別だからです。

電磁誘導式は磁性体の素地、渦電流式は非磁性の導電体を前提にしていて、方式が合っていない素地では反応が小さくなるか、まったく出ません。

両対応機でも、素地ごとにゼロ調整を取り直さないと差が残ります。

亜鉛めっきの上の塗装は測れますか

原理上、めっき層と塗膜の合計として表示されます。

素地の鉄までの距離を読んでいるため、間に挟まる非磁性の層はすべて厚みに含まれます。

塗膜だけの値が要るなら、めっき厚が分かっている箇所で差し引くか、層を分けて測れる機種が必要です。

車の塗装を測ったら場所ごとに値が違います。板金歴でしょうか

それだけでは決まりません。

屋根とドアでは素地の板厚も曲率も違い、樹脂パネルなら金属用の方式では測れません。

同じパネル内で複数点を測り、他のパネルの平均と比べるのが先です。

数値の読み方は車の塗装を膜厚計で測る方法で解説しています。

まとめ

膜厚計は塗膜ではなく素地までの距離を電気的に読む道具なので、素地の磁性・厚み・曲率・表面の粗さが変われば表示も変わります。

ばらつきに気づいたら、同じ点を繰り返し測って再現性を見て、標準板で正解の分かる測定を作り、そこから機器側かどうかを分けてください。

ぜひ本記事の切り分け手順とゼロ調整の取り直しを参考に、手元の数値がどこで狂っているのかを確かめてみてください。

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