SHARE:

車の塗装を膜厚計で測るには?板金歴を見分ける数値の読み方

中古車の塗装を膜厚計で見るとき、測った数値を「純正ならこのくらい」という基準と突き合わせても答えは出ません。

純正の塗膜の厚さは車種でもメーカーでも違い、同じ1台でもドアとルーフで揃っていません。

判断できるのは、同じ車両の中で左右のパネルを測り比べたときの差のほうです。

もう一つ外れやすい前提が素地(そじ)です。

鋼板のドアは電磁式、アルミのボンネットは渦電流式と、測定方式そのものが変わります。

樹脂バンパーに至っては、どちらの方式でも数値が出ません。

本記事では、車の面ごとに変わる素地と測定方式・樹脂パーツが測れない理由・修復歴を読むための測定点の取り方を解説します。

GOOD DIY編集部

測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。

※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。

車のボディは面ごとに素地が違う

膜厚計が測っているのは塗膜そのものではなく、プローブ(探触子)の先端から素地までの距離です。

素地が何でできているかで、使う物理現象が変わります。

電磁式は磁性体、つまり鉄や鋼板の上でしか成立しません。

渦電流式は磁石に付かない導電体、アルミやステンレスの一部が対象になります。

この違いの詳しい仕組みは膜厚計の原理と測定方式の対応関係で解説しています。

1台の中で鉄とアルミが混在する

問題になるのは、乗用車のボディが1種類の金属でできていない点です。

骨格やドアは鋼板でも、軽量化のためにボンネットやトランクリッド、フェンダーにアルミを使う車種があります。

鋼板用の設定のままアルミのボンネットに当てれば、値が出ないか明らかにおかしい数字が返ってきます。

素地の取り違えは、測定ミスというより測れていない状態です。

素地の判別は磁石が早い

どのパネルが鉄でどれがアルミかは、小さな磁石をあてれば分かります。

付けば鋼板、付かなければアルミか樹脂です。

塗装面に直接当てると砂を噛んで傷になるので、布をはさむか、裏側の見えない部分で確かめてください。

車種ごとのアルミ採用部位はカタログやサービス資料に書かれていることもあります。

鉄とアルミ両対応でないと車1台を測りきれない

素地が混在する以上、車で使うなら電磁式と渦電流式の両方を持つ機種を選んでください。

F/N両用、デュアルタイプなどと表記され、プローブを当てた瞬間に素地を自動で判別して方式を切り替える製品が主流です。

鉄専用機を買ってしまうと、アルミボンネットの再塗装だけ確認できないまま残ります。

素地ごとの方式の選び分けは塗装面を測るときの測定方式の決め方で解説しています。

次に確認したいのが測定範囲の上限です。

普通の塗装であればハンディ機の範囲に収まりますが、板金のあとにパテを厚く盛った箇所では、塗膜と充填材を合わせた厚みがレンジを超えることがあります。

上限を超えるとエラー表示になるか値が頭打ちになるので、カタログの測定範囲と分解能を買う前に見ておいてください。

読み取り方として、最小表示が1μm単位か0.1μm単位かも関係します。

車の塗装では1μm単位で十分で、細かすぎる表示は数値が落ち着かず、かえって判断を鈍らせます。

機種候補の絞り込みは鉄とアルミで変わる塗装用膜厚計の選び分けで解説しています。

樹脂バンパーは膜厚計の測定対象から外れる

電磁式も渦電流式も、素地が金属であることを前提にした方式です。

樹脂バンパーやFRPのエアロパーツには、プローブの下に反応する金属がありません。

両用機を持っていても、バンパーの塗膜は測れないままです。

樹脂素地まで測るには超音波式が必要になりますが、車用として売られているハンディ機の多くは対応していません。

実務上はこれで困らないことがほうが多いと言えます。

バンパーは軽い接触でも交換や再塗装になる部位で、ここが塗られているかどうかは骨格の損傷と直接は結び付きません。

中古車を見るときも、バンパーは目視で色味や肌、合わせ目のチリを確認し、膜厚で読むのは金属パネル側に絞るほうが筋が通ります。

修復歴の判定は1点の数値では決まらない

1か所だけ測って厚い薄いを論じても意味がありません。

塗膜厚は同じパネルの中でも平面部とプレスラインの近くで差が出ますし、エッジ付近は薄くなりがちです。

比べる相手は基準値ではなく、同じ車両の他の面です。

左右対称の面を突き合わせる

右フロントドアと左フロントドア、右クォーターと左クォーターというように、本来は同じ工程で塗られた面どうしを比較してください。

片側だけが全体にわたって厚い、あるいは数値のばらつきが大きいときに、再塗装を疑う材料になります。

1枚のパネルにつき上下左右と中央で5点前後、面の広いルーフならもう少し増やします。

測る前にゼロ調整を済ませる

数値を比較する以上、測定器側の基準がずれていては話になりません。

付属の標準板で確認してから車に当ててください。

手順はゼロ調整と測定点の取り方で、標準板を使った確認の考え方は膜厚計の校正が必要になる場面で解説しています。

そのうえで、膜厚だけで修復歴の有無を断定することはできません。

中古車の表示で言う修復歴は骨格部位の修復や交換を指すもので、塗膜が厚いことがそのまま該当するわけではありません。

再塗装は飛び石の補修でも起きます。

膜厚計で分かるのは「この面は塗り重ねられている可能性が高い」ところまでで、そこから先は内部の目視や整備記録と突き合わせる作業になります。

曲面とエッジに当たるプローブ形状

車体はほぼすべてが曲面です。

プローブの先端が塗装面に対して垂直に、かつ全面で接していないと値が安定しません。

仕様表には測定できる最小曲率半径が書かれていることがあるので、フェンダーのアールやドアエッジのような曲率のきつい場所を測る予定があるなら確認してください。

本体とプローブが一体のタイプは、片手で持って次々に当てていけるので、1台を短時間で見て回る用途に向きます。

ピラーの内側やドア開口部、エンジンルーム内のように手が入らない場所まで測るなら、ケーブルでつながった分離型のほうが届きます。

どちらが上位ということはなく、測りたい場所で決まります。

測定のたびに先端が塗装面へ接触するので、砂粒を噛んだまま当てると細かい傷が付きます。

他人の車を見る場面ではとくに、測る前に軽く拭いてから当ててください。

方式そのものの基礎は膜厚計の種類と選び方の全体像で解説しています。

よくある質問

膜厚計の数値だけで事故車だと判断できますか

できません。

分かるのは塗膜が厚い面があるかどうかまでで、原因が板金修理なのか飛び石の部分補修なのかは数値からは区別できません。

左右差が出た面を見つけたら、その周辺のシーリングの状態やボルトの脱着痕を目視で確認し、整備記録と合わせて判断してください。

何μm以上なら再塗装と考えればよいですか

一律の基準はありません。

純正塗装の厚みは車種・年式・塗色・生産工場で差があり、同じ車でもルーフとドアで揃いません。

絶対値ではなく、同一車両の左右差とパネル内のばらつきで読んでください。

磁石を貼り付けて厚さを調べる方法では足りませんか

磁石で分かるのは、素地が鉄かそれ以外かという区別までです。

付き方の違いで厚塗りをおおまかに感じ取ることはできても、μm単位の数値は出ませんし、アルミパネルでは何も判定できません。

左右のパネルを数値で比べたいなら膜厚計が要ります。

自分で磨くときの管理にも使えますか

使えます。

コンパウンドで磨けばクリア層が削れるので、作業前と作業後で同じ点を測れば、どれだけ減ったかを把握できます。

過去に再塗装された面や、もともと塗膜の薄いエッジ部では削りすぎに注意してください。

アルミ対応と書いてあれば樹脂も測れますか

測れません。

アルミ対応は渦電流式を持っているという意味で、素地が金属であることは変わらないためです。

樹脂バンパーを測るには超音波式の測定器が別に必要になります。

まとめ

車で膜厚計を使うなら、まず自分が見る車のボンネットやフェンダーにアルミが使われているかを確かめ、鉄とアルミの両方に対応した機種を選んでください。

測り方は、基準値と比べるのではなく同一車両の左右を突き合わせること、1枚のパネルで複数点を取ることの2つで精度が決まります。

樹脂バンパーは測定対象から外れるので、そこは目視で見る前提に切り替えます。

ぜひ本記事の素地ごとの方式の違いと測定点の取り方を参考に、自分の用途に合う1台を選んでください。

あなたへのおすすめ