電気工事士の試験と実務で使うテスター|選び方と必要な機能
電気工事士の仕事をテスター1台で回そうとすると、竣工検査で止まります。回路計で測れるのは電圧・抵抗・導通・電流のところまでで、絶縁抵抗と接地抵抗はそれぞれ専用の計器が要ります。
そのうえで、テスター側にも場面ごとの条件があります。分電盤のように電源に近い位置へプローブを当てるならCAT区分、インバーターや調光器が混ざる回路なら真の実効値方式かどうかで、読んだ値の意味そのものが変わります。
本記事では、電気工事士が測る対象が季節と経年で動く理由・分電盤でテスターに求める条件・テスターでは測れないものと当ててはいけない測り方を解説します。

GOOD DIY編集部
測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
電気工事士が測る対象は、季節と経年で値が動く
同じ回路を同じ手順で測っても、前回と同じ値にはなりません。
絶縁抵抗は湿気と経年で落ちていくため、雨が続いた翌日の測定値は乾いた日より低く出ます。
接地抵抗も土の乾湿で動き、乾いた時期には高めに振れます。
値が動くこと自体は異常ではなく、判断に要るのは前回との差と、その差が出た理由です。
測った日の天候、負荷を切って測ったか入れたまま測ったか、盤のどの位置に当てたかまで書き残しておくと、次に同じ盤を開いたときに比較できます。
記録のない数値は、良否の線引きに使えません。
テスター側の条件でも読みは変わります。
電池が弱ると抵抗測定の値が落ち着かず、テストリードの先端が酸化していれば導通のブザーが鳴らないこともあるので、測る前にリード同士を短絡させて表示を確かめてください。
基本の当て方と読み取り手順は電圧・抵抗・導通の測り方で解説しています。
分電盤に当てるテスターはCAT区分と入力保護で決まる
CAT区分は測る場所の電源からの近さで分かれる
CAT区分は、測定する場所が電源にどれだけ近いかで分けた区分です。
引込に近い主幹の一次側ほど、万一短絡したときに流れるエネルギーが大きく、上位の区分に対応した機種が前提になります。
コンセント回路しか触らない人と、主幹まで開けて測る人とでは、必要な区分が違います。
テストリードも本体と同じ区分のものを使ってください。
本体だけ上位で、リードが付属品以外の安価な物に替わっていると、保護の前提が崩れます。
区分ごとの使い分けと、本体とリードの組み合わせ方はCAT区分と真の実効値で選ぶおすすめ機種で解説しています。
波形が歪む回路では平均値方式の読みがずれる
インバーター、調光器、LED照明が入った回路では、電流や電圧の波形が正弦波から崩れます。
平均値方式のテスターはきれいな正弦波を前提に目盛りを振っているので、崩れた波形では実際と違う値を表示します。
真の実効値方式なら、波形が歪んでいても実効値として読めるため、設備の更新が進んだ建物で測る機会が多いなら、ここを先に決めてください。
テスターでは測れないもの、当ててはいけない測り方
竣工検査で提出する絶縁抵抗は、回路に試験電圧をかけて漏れを見る測定です。
テスターの抵抗レンジはごく小さい電圧しかかけないので、代わりにはなりません。
測定電圧の選び方や機種の見方は絶縁抵抗計とメガーの関係で解説しています。
漏れ電流も回路計では追えません。
漏れ電流は負荷電流と一緒に流れているため、行きと帰りの線を一括して挟めるクランプでないと負荷側の電流に埋もれてしまい、挟む線の本数と位置で読みが変わります。
切り分けの手順はクランプメーターの選び方と使い分けで解説しています。
当ててはいけない測り方は2つあります。
1つは電流レンジのまま電圧のかかった2点にプローブを当てることで、テスター内部が短絡路になってヒューズが飛びます。
もう1つは通電したまま抵抗を測ることで、値が出ないだけでなく機器を壊す可能性があります(抵抗測定で電源を切る理由)。
なお、停電の確認そのものはテスターより検電器のほうが速く、低圧か高圧かで使う機種が変わります。
三相モーターの結線確認は、レンジを切り替える回数で手間が変わる
結線を入れ替えた直後は相順が変わり、モーターが逆に回ります。
相順そのものはテスターでは判定できず、検相器か、実際の回転方向で確かめることになります。
テスターの役目は、巻線が切れていないか、3相の抵抗値がそろっているか、端子と外箱の間で地絡していないかの確認です。
端子を順に当てて3組の値を比べる作業なので、片手で操作できるかどうかで所要時間が変わります。表示を保持する機能があれば、盤の中をのぞき込みながら読まずに済み、レンジが自動で切り替わる機種なら当て直すたびのダイヤル操作が減ります。
巻線抵抗は小さく、テストリード自体が持つ抵抗を無視できません。
リード同士を短絡した状態の表示をゼロ調整で差し引いてから測ると、3相の差を比べやすくなります。
絶縁のほうは回路計では判断できないため、地絡が疑わしいときは絶縁抵抗計に持ち替えてください。
一人で回る日の予備はヒューズと電池の2つ
交換用ヒューズは機種が指定したものだけ
電流レンジのヒューズが飛ぶと、その日の電流測定がそこで終わります。
交換用は定格電流だけでなく遮断容量まで機種側で指定されているので、ホームセンターの汎用品で代用しないでください。
保護の性能が落ちた状態で分電盤に当てるのは、区分を1段下げて測るのと変わりません。
予備を本体のケースに1組入れておくと、現場で止まらずに済みます。
腰道具への収まりとテストリードの長さ
電池は自動電源オフのある機種なら持ちますが、切り忘れが重なれば残量は読めなくなるため、予備を1セット持つほうが確実です。
本体は腰道具に差す厚みと重さで選ぶと、脚立の上で片手がふさがりません。
マグネット付きのハンガーやストラップで盤の扉に吊れば、両手で端子を扱えます。
テストリードは長いほど盤の奥に届く反面、束ねずに使うと絡まるので、ワニ口クリップで片側を固定して残る片手で当てる使い方が現実的です。
よくある質問
絶縁抵抗計があれば、テスターは不要ですか
必要です。
絶縁抵抗計で測れるのは絶縁の状態だけで、電圧が来ているか、器具までつながっているかは分かりません。
竣工検査でも結線の導通確認と電圧確認は回路計の仕事なので、2台とも使います。
テスターのヒューズが飛びました。原因は何ですか
電流レンジのまま電圧のかかった2点に当てた場合に起きます。
レンジの切り替えとプローブの差し替えの両方を確かめてください。
交換は機種が指定する定格と遮断容量のヒューズに限ります。
アナログテスターはもう使いませんか
針の振れ方で変化の方向や接触不良の揺れを見たい場面では、今も使われています。数値の読み取りと記録が中心ならデジタル式が速いので、両者の違いはアナログとの違いと選び方の4つの軸で解説しています。
点検や校正はどのくらいの間隔で出しますか
落下させたあと、水に濡らしたあと、表示が以前と食い違うときは使用間隔に関係なく確認してください。定期的な校正の周期と費用はメーカーと機種で変わり、見積を取るまで金額は確定しません。
まとめ
電気工事士の現場でテスターに任せられるのは、電圧・抵抗・導通・電流の確認までです。
絶縁抵抗、接地抵抗、漏れ電流、相順はそれぞれ別の計器の領分で、ここを混ぜると検査のやり直しになります。
機種を決めるときは、自分が主幹まで開けるかどうかでCAT区分を、歪んだ波形の回路を測るかどうかで真の実効値方式の要否を先に決めてください。
ぜひ本記事のCAT区分の考え方と予備品の持ち方を参考に、使う盤に合う1台を選んでください。



