リーククランプメーターとは?通常品との違いと必要になる場面
クランプメーターを1台持っていても、漏れ電流の測定には使えません。負荷電流用のクランプは表示がアンペア単位で、最小表示が0.01Aでも10mA刻みになり、低圧電路の判定ラインである1mA以下はそもそも表示に出ない桁です。
リーククランプメーターは、その1mAより細かいところを見るための専用機で、最小表示が0.01mA前後の機種もあります。
挟み方も違い、電線を1本だけ挟むのではなく、その回路の電線をまとめて一括でクランプに通します。
仕様表で迷うのは、測定レンジと分解能、確度の書き方、そして抵抗分だけを取り出せるかどうかの3か所です。
本記事では、リーククランプメーターが読んでいる電流の正体・仕様表の数字の読み方・抵抗分漏れ電流に対応した機種との違い・口径が合わないときに起きることを解説します。

GOOD DIY編集部
測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
リーククランプメーターが読んでいるのは行きと帰りの差
この道具は、電線1本に流れている電流の大きさを読むものではありません。
測っているのは回路の行きの電流と帰りの電流の差で、単相2線式なら2本、三相3線式なら3本を、まとめてクランプの中に通します。
健全な回路では行きと帰りが同じ大きさで向きが逆になるため、磁界が互いに打ち消し合って表示はほぼゼロに落ち着きます。
打ち消し残った分が、絶縁の低下した箇所から大地へ逃げている電流です。
この仕組みなので、電線を1本だけ挟むと負荷電流が丸ごと表示され、漏れ電流の桁ではなくなります。
分電盤で接地線(アース線)を1本だけ挟む測り方もありますが、こちらは接地線に戻ってくる電流をそのまま拾う方法で、一括クランプとは見ている経路が違うため、数値が一致しないこともあります。
検出に使っている素子の種類で読める電流が変わる点は負荷電流用と同じで、クランプメーターの検出方式の違いで解説しています。
仕様表で先に見るのはレンジ・分解能・確度の3か所
商品ページに並ぶ数字のうち、漏れ電流の測定に直接関わるのは次の項目です。
| 表記 | 何を表すか | 読み方の注意 |
|---|---|---|
| 測定レンジ(20mA・200mA・2Aなど) | その段で表示できる電流の上限 | 段ごとに分解能と確度が別に書かれる |
| 最小表示(分解能) | 表示される最小の単位 | 0.01mA前後の機種が多い。0.1mAまでの機種では1mA前後の判定が粗くなる |
| 確度 | 誤差の保証範囲 | 読み値に対する百分率と、最小桁いくつぶんかのカウントを足した形で書かれる |
| 周波数帯域・フィルタ | 拾う周波数の範囲 | 商用周波数だけを通すフィルタの有無で数値が変わる |
| クランプ口径(mm) | 挟める電線やケーブルの太さ | 一括で挟む本数ぶんの太さが入るかで見る |
確度は、読み値側の誤差と最小桁側の誤差を足して初めて意味を持ちます。
読み値に対する百分率だけなら値が小さいほど誤差も小さくなりますが、最小桁側のカウントは値の大小に関係なく乗るため、0.5mAのような小さい数値では誤差の占める割合が大きくなります。
1mAをまたぐかどうかで合否を判断する場面ほど、レンジと確度の組み合わせを確認してください。
抵抗分漏れ電流に対応した機種は別タイプ
静電容量分が混じると数値は大きく出る
一括クランプで読める値には、絶縁の低下で流れる抵抗分のほかに、電線と大地の間の静電容量を通って流れる分が含まれます。
後者は絶縁が健全でも流れるもので、ケーブルの亘長が長い回路やノイズフィルタを持つ機器が多い回路では、合計値だけが大きく出ます。
合計しか測れない機種では、この2つを切り分けられません。
抵抗分を取り出すには電圧側の情報が要る
抵抗分だけを表示する機種は、電流の位相を電圧と比べる必要があるため、電圧を取り込むクリップやコードが付属します。
取り付ける手間が増えるぶん、静電容量分で高く出ているだけなのか、本当に絶縁が落ちているのかを通電したまま判断できます。
停電させて絶縁抵抗を測る方法とは役割が違い、停電できる設備なら絶縁抵抗計の選び方で解説している測り方のほうが直接的です。
必要なリーククランプメーターは測る場所から決まる
挟む対象で口径が決まる
最初に決めるのは測定レンジではなく、何を挟むかです。
分電盤で接地線1本だけを挟むなら小口径で足りますが、幹線のケーブルを一括で挟むなら、被覆の外形で口径が決まります。
挟めない太さだと現場で何もできないため、口径はミリメートル表記を実物のケーブル外径と突き合わせて選んでください。
回路の波形で必要な機能が変わる
挟む対象が決まったら、判定したい値の細かさでレンジと分解能を選びます。
1mAを基準に合否を出すなら0.01mA単位まで読める機種、月ごとの傾向を追うだけなら表示が粗くても変化は見えます。
インバータを使った機器が多い回路では、商用周波数以外の成分まで拾って数値が大きくなるため、真の実効値で表示する方式かどうか、商用周波数だけを通すフィルタを持つかどうかも確認が必要です。
交流の漏れ電流を前提とした機種なので、直流回路に当てても測れません。
直流側を見るなら直流対応クランプメーターとの違いで解説している構造の機種が要ります。
口径と確度が合わないクランプメーターで起きること
口径が足りないと、一括で挟めないまま相ごとに測ることになり、負荷電流を読んでいるだけの数値が残ります。
逆に口径が大きすぎる機種では、ケーブルがクランプの中心からずれやすくなり、同じ回路でも当てる位置で数値が動きます。
近くに変圧器や大電流の幹線がある場所では外部磁界の影響も乗るため、カタログの注記にある影響量の記載を読んでおくと、現場で数値が揺れたときの原因を絞れます。
確認する場所は決まっていて、口径と測定レンジは仕様表の冒頭、分解能と確度はレンジごとの一覧表、外部磁界やフィルタの条件は表の下の注記に書かれています。
本体の表示部だけでは分解能までは分からないので、型番から仕様表を開いてください。
負荷電流用も含めて1台で済ませたい場合の考え方は、クランプメーター選びの5つの軸で解説しています。
よくある質問
手持ちのクランプメーターで漏れ電流は測れませんか
負荷電流用の機種では桁が足りません。
最小表示が0.01Aの機種なら10mA刻みになり、1mA以下を判定する用途には使えないままです。
mAレンジを持つ機種でも、漏れ電流用として分解能と確度が規定されているかを仕様表で確かめてください。
分電盤ではどこを挟めばよいですか
回路ごとに見るなら、その分岐の電線をまとめて一括で挟みます。
幹線全体の傾向を見るなら接地線を挟む方法もありますが、両者は見ている経路が違うため数値が一致しないことがあります。
挟む位置と表示の読み方は挟む位置と数値の読み方で解説しています。
1mAを超えたら絶縁不良と判断してよいですか
合計値だけでは判断できません。
ケーブルが長い回路やフィルタを持つ機器が接続された回路では、静電容量分だけで数値が上がります。
抵抗分を表示できる機種で切り分けるか、停電できるタイミングで絶縁抵抗を測って確かめてください。
まとめ
リーククランプメーターの仕様で先に決まるのは、挟む対象から導かれる口径で、レンジと分解能、確度はそのあとに続きます。
1mAをまたぐ判定をするなら0.01mA単位まで読める機種を、静電容量分と抵抗分を切り分けたいなら電圧入力を持つ機種を選ぶことになります。
ぜひ本記事の仕様表の読み方を参考に、測る場所とケーブルの外径を先に書き出してから機種を絞ってください。



