ねじゲージの使い方|通り側と止まり側で判定する手順
ねじゲージという名前で売られている道具は、1種類ではありません。
扇形に薄い刃が並んだピッチゲージと、めねじ・おねじが規格内かどうかを判定する限界ゲージは、どちらも「ねじゲージ」と呼ばれますが、前者はピッチを読む道具、後者は合否を決める道具です。
ピッチの書き方も分かれていて、メートルねじは1山あたりの長さを1.0や1.25といったmmで表し、インチ系のねじは25.4mmあたりの山数で表します。
同じ扇形でも、入っている刃の基準が違えばかみ合いません。
本記事では、2タイプの見分け方・M6×1.0-6Hのような表記の読み方・旧JISと新JISで寸法の基準が変わる点を解説します。

GOOD DIY編集部
測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
ねじゲージと呼ばれる道具は2タイプある
検索結果に並ぶ商品を見ると、価格の桁が二つも三つも違うものが混ざっています。これは品質の差ではなく、目的がまったく別の道具が同じ呼び名で並んでいるためです。
ねじ山のピッチを読むピッチゲージ
薄い鋼の刃がナイフのように折り畳まれていて、1枚ずつねじ山に当てて、すき間なく合う刃を探す道具です。
刃の根元に「1.0」「1.25」「20山」などの数字が打たれていて、合った刃の数字がそのねじのピッチになります。
スクリューピッチゲージ、ねじピッチゲージとも呼ばれます。
読み取れるのはピッチだけで、ねじの直径は分かりません。
合否を判定するねじ用限界ゲージ
こちらは加工したねじが規格の許容範囲に入っているかを判定する検査具で、通り側と止まり側が対になっています。
めねじを検査するものがプラグゲージ、おねじを検査するものがリングゲージです。
数値は出ません。
通り側がねじ込めて、止まり側がねじ込めなければ合格という、合否だけを返す道具です。
この判定の考え方そのものは限界ゲージの通り側と止まり側の基準で解説しています。
ねじゲージの表記はピッチの単位で読み分ける
商品名や刃に打たれた数字は、小数か整数かでほぼ見分けがつきます。小数で書かれていればmm、整数に「山」が付いていれば25.4mmあたりの山数です。
| 表記 | 意味 | これを見る人 |
|---|---|---|
| 0.5/1.0/1.25 | 1山あたりの長さ(mm)。メートルねじのピッチ | 一般的な機械・建築のボルトを扱う人 |
| 11山/20山 | 25.4mmあたりの山数。ウイットねじ・ユニファイねじ・管用ねじ | 配管や古い機械、輸入品を扱う人 |
| M6×1.0 | 呼び径6mm、ピッチ1.0mmのメートル並目(なみめ)ねじ | 限界ゲージを呼び寸法で注文する人 |
| 6H/6g | はめあい区分。Hは大文字でめねじ、gは小文字でおねじ | 図面の指示どおりのゲージを買う人 |
| GP/IP | めねじ用プラグゲージの通り側/止まり側 | タップ加工した穴を検査する人 |
| GR/NR | おねじ用リングゲージの通り側/止まり側 | 旋盤やダイスで切ったねじを検査する人 |
同じM6でも、並目は1.0mm、細目(ほそめ)には0.75mmなどがあり、ピッチが違えばまったく別のねじです。限界ゲージを注文するときは、呼び径とピッチとはめあい区分の3つが揃って初めて品番が一意に決まります。
用途から選ぶなら、判定が要るかどうかが分かれ目
手元のボルトやナットが何ねじか知りたいだけなら、ピッチゲージで足ります。
外したビスの替えを買いたい、配管の口径に合う継手を探したいといった場面がこれにあたり、径はノギスで測って組み合わせます。
ノギスの測り分けは最小読取値と測る場所で決まる選び方で解説しています。
一方、自分で切ったねじを出荷したり、受け入れ検査で合否を記録したりするなら限界ゲージです。
選ぶ順序は、めねじかおねじかでプラグとリングを決め、図面のはめあい区分(6Hなど)を読み、同じ区分のゲージを呼び寸法で指定する、という流れになります。
ここで図面と違う区分のゲージを買うと、合格のはずの製品が不合格になります。
有効径の数値そのものを管理したい工程では、ゲージではなくねじ用のマイクロメーターを使うので、測定範囲の考え方はマイクロメーターの測定範囲と0.001mmの要否を見てください。
同じM6用でもねじゲージの仕様がそろわない理由
限界ゲージには、旧JISに基づく製品と、ISOに整合した現行JISに基づく製品が併存してきました。
どちらもM6×1用として売られますが、ゲージ自体の寸法許容差や摩耗限界の決め方が違います。
買い足すときに古いゲージと新しいゲージが混ざると、同じ製品でも判定が分かれることがあるため、商品ページの規格欄にあるJIS番号と、ゲージ本体の刻印を突き合わせて確認してください。
ピッチゲージのほうは、規格よりもセット内容で差が出ます。
メートルねじ専用、インチ系専用、両方を1本にまとめた混載型があり、枚数も20枚前後から50枚を超えるものまで幅があります。
刃の材質はステンレスと炭素工具鋼が主で、水や切削油のかかる場所に持ち込むならステンレス刃のほうが錆びにくい作りです。
価格の幅は、枚数と刃の精度、刃先の仕上げで決まります。
ピッチが近い刃を当てたときに起きること
1.0mmと1.25mmのように近いピッチは、斜めに当てると山が合って見えてしまいます。
刃を当てたら必ず光にかざして、山と谷の両方にすき間がないかを透かして確かめてください。
1〜2山だけ合っていても、5山、6山と重ねていけばずれが現れます。
判断に迷ったら、両隣のピッチの刃も当てて、いちばんすき間が少ないものを選ぶ方法が確実です。
限界ゲージで起きる失敗は、入らない通り側を無理に回し込むことです。
ゲージは基準そのものなので、こじって通せば山が摩耗し、以後その道具は正しい判定を返しません。
カタログに書かれた等級は出荷時の値であり、使用回数と落下で変わります。
頻度の高い現場では摩耗点検の周期を決めておき、落とした直後は別のゲージと突き合わせてから使ってください。
よくある質問
ねじゲージとピッチゲージは別物ですか
ピッチゲージはねじゲージと呼ばれる道具の一つです。
広い意味のねじゲージには、ピッチを読むピッチゲージと、合否を判定するプラグゲージ・リングゲージの両方が含まれます。
検査用のゲージを探しているのにピッチゲージが届くという取り違えは、この呼び名の重なりで起きます。
ねじの直径もねじゲージで分かりますか
分かりません。
ピッチゲージが読めるのはピッチだけで、おねじの外径やめねじの穴径はノギスで測ります。
外径約6mm・ピッチ1.0mmと分かれば、M6の並目ねじと判断できます。
ホームセンターで買える安価なピッチゲージでも使えますか
ねじの種類を特定する用途なら使えます。
ただし刃の枚数が少ないセットは細目が省かれていることがあり、インチ系の山数が入っていないものもあります。
扱うねじにインチ系や細目が混ざるなら、購入前に刃の一覧を確認してください。
取扱いは店舗によって異なります。
まとめ
ねじゲージ選びでつまずく原因のほとんどは、ピッチを読む道具と合否を判定する道具が同じ名前で売られていることにあります。
種類を知りたいだけならピッチゲージとノギスの組み合わせ、検査の記録を残すならはめあい区分まで指定した限界ゲージ、という分け方で候補は絞れます。
ぜひ本記事のmm表記と山数の読み分け、そしてJIS番号の確認手順を参考に、手元の図面とねじに合う1本を選んでください。



