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限界ゲージとは?通り側と止まり側で合否を決める基準

限界ゲージには目盛がありません。

読み取るのは寸法の数値ではなく、通り側が入って止まり側が入らない、という二択の結果だけです。

測定技能の差が出にくく、量産品を全数で選別するときに使われます。

発注のときに迷うのは、形よりも刻印のほうです。

穴用の栓ゲージに「φ10 H7」、ねじゲージに「M10×1.5 6H」と書かれていたとき、このH7や6Hはゲージ自身の精度ではなく、検査する部品側に指示された公差域クラスを指しています。

ここを取り違えると、不良品を通すゲージを買ってしまいます。

本記事では、通り側と止まり側の決まり方・穴と軸とねじで分かれるゲージの種類・公差域クラスの読み方と間違えたときに起きること・摩耗と校正証明書の確認場所を解説します。

GOOD DIY編集部

測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。

※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。

限界ゲージは寸法を測らず合否だけを判定する

限界ゲージが出すのは「公差内か、公差外か」だけです。

何ミリかは分かりませんし、どれだけ外れているのかも分かりません。

そのかわり、通し当てるだけで誰が検査しても同じ判定になります。

仕組みは、合否の境目そのものをゲージの寸法にしてしまうところにあります。

穴を検査する栓ゲージなら、通り側は穴の最小許容寸法に、止まり側は最大許容寸法に作られています。

通り側が入れば穴はそれ以上の大きさがあり、止まり側が入らなければ最大許容寸法を超えていません。

この2つが同時に成り立ったときだけ合格です。

軸を検査するリングゲージやはさみゲージでは、この関係が入れ替わります。

通り側が軸の最大許容寸法、止まり側が最小許容寸法です。

穴と軸でどちらが大きい側か反転するので、ゲージを借りてきて流用するときは必ず検査対象を確認してください。

判定しか出ないことは、そのまま代償にもなります。

工程がどちらへ寄ってきているか、あと何ミリで公差を外れるかを追いたい場合、限界ゲージでは分かりません。

外径ならマイクロメーターの選び方で解説している0.001mm読みの機種、内径ならシリンダゲージの使い方で解説している比較測定のほうが、傾向管理には向きます。

穴用の栓ゲージ、軸用のリングゲージとはさみゲージ

名称検査する相手特徴
栓ゲージ(プラグゲージ)穴の内径両端に通り側と止まり側を持つ形と、片側ずつ別体の形がある
リングゲージ軸の外径全周で当たるため、真円から外れた軸を見つけやすい
はさみゲージ(スナップゲージ)軸の外径横から差し込めるので、加工機に付けたままでも当てられる
ねじプラグゲージめねじ記号はGP(通り側)とNP(止まり側)
ねじリングゲージおねじ記号はGR(通り側)とNR(止まり側)

リングゲージとはさみゲージの使い分け

同じ軸径の検査でも、リングゲージは軸の端から通す必要があるため、段付き軸の途中や長尺材の中ほどには使えません。はさみゲージは横から当てられるので、旋盤に掴んだままの確認に向きます。

全周で当たらないぶん、真円度の崩れは見落とす可能性があります。

ねじは通り側と止まり側で判定の意味が変わる

ねじ用の通り側は、相手部品とねじ込めるかどうか、つまり有効径と山形状をまとめて見ています。

止まり側は有効径が緩すぎないかだけを見る設計で、全長がねじ込めない形になっています。

止まり側がわずかにねじ込めても直ちに不合格とは限らず、許容するねじ込み量はJISで規定されています。

社内の判定基準書と合わせて確認してください。

刻印の「H7」「6H」が示す公差域クラス

ゲージの柄や外周には、呼び寸法と公差域クラスが刻まれています。

φ10 H7 であれば、呼び寸法10mm、公差域クラスH7の穴を検査するゲージです。

アルファベットが公差域の位置、数字が公差の等級を表し、等級の数字が小さいほど許容される幅が狭くなります。

大文字と小文字の使い分けにも意味があります。

H7のような大文字は穴、h7のような小文字は軸を指します。

φ10 H7 用の栓ゲージと φ10 h7 用のリングゲージは、呼び寸法が同じでも別物です。

ねじの場合は並びが逆で、6Hのように等級が先、公差域の位置が後ろにきます。めねじが大文字の6H、おねじが小文字の6gです。

通り側と止まり側の見分けは、GO・NO GOの刻印のほか、止まり側の柄に赤い帯や溝を入れて区別している製品が多くあります。

両端にゲージが付いた形では、短いほうが止まり側です。

摩耗の状況を考えると、どちらが止まり側かを手探りで判断せず、刻印を読んでから当てるほうが確実です。

公差域クラスを間違えると限界ゲージの判定が逆になる

「φ10のゲージをください」では発注できません。

H7用とH8用では止まり側の寸法が違い、H8用のゲージでH7指示の穴を検査すると、本来は公差外の穴が通ってしまいます。

逆に厳しいクラスのゲージを当てれば、合格品を不良として落とします。

まず図面の寸法指示を読み、そこに書かれた公差域クラスをそのまま発注してください。

呼び寸法と公差域クラスが同じであれば、判定の境目はJISの寸法許容差で決まるので、メーカーが違っても基準そのものは変わりません。

差が出るのはゲージ側の作り方です。

ゲージ公差をどの等級で取るか、摩耗代をどれだけ見込むかはメーカーや品番で違い、新品状態の実寸にも個体差があります。

社内の工程能力がぎりぎりの部品を検査するなら、カタログの公差域クラスだけで決めず、校正証明書に記載された実測値まで確認してください。

温度の扱いも判定を動かします。

寸法は20℃を基準に決められているので、素手で長時間握ったゲージや、加工直後で温まった部品をそのまま検査すると、膨張したぶんだけ結果がずれます。

精密な等級を扱う工程では、部品とゲージを同じ室温になじませてから当ててください。

限界ゲージの摩耗と校正証明書はどこで確認するか

通り側は毎回部品に通すので擦れて減り、止まり側はほとんど入れないため摩耗が進みません。

この減り方の差がそのまま危険につながります。

穴用の通り側が摩耗して細くなると、本来は小さすぎる穴まで通してしまい、不良を合格側へ流します。

使用回数が多い工程ほど、通り側の点検間隔を短くしてください。

購入時にカタログで確認する項目

  • 呼び寸法と公差域クラス(図面指示と一致しているか)
  • ゲージ公差の等級と、摩耗限界の値が示されているか
  • 校正証明書・トレーサビリティ体系図の有無(別料金の扱いが多い)
  • 測定部の材質。鋼製が標準で、超硬合金は摩耗に強い反面、落下による欠けには弱く価格も上がります

使い始めたあとの管理

校正の周期は使用頻度と要求精度で決めるもので、年1回といった固定の決まりはありません。

落下させた、異音がした、不良の流出が出たといったきっかけがあれば、周期を待たずに点検へ回してください。

保管は防錆油を薄く塗って専用ケースに戻すのが基本で、測定面どうしを当てて置かないようにします。

よくある質問

限界ゲージとノギスはどちらを使えばいいですか

合否だけが必要で、同じ寸法を数多く検査するなら限界ゲージが速く、判定のばらつきも出にくくなります。

寸法の数値を記録に残す、試作品を1個だけ確認するといった用途なら、読取値が出る道具のほうが向きます。

ノギスの選び方では、最小読取値と測る場所から機種を絞る手順を解説しています。

止まり側が少し入ってしまいました。不合格ですか

穴や軸の止まり側は、入り口にかかる程度は起こりますが、通り抜けたら公差外です。

ねじの止まり側については、わずかなねじ込みを許容する規定がJISにあるため、何回転まで許すかを社内の判定基準で決めてから判断してください。

基準が無いまま現場で判断すると、検査員ごとに結果が変わります。

校正証明書は必ず付けるべきですか

取引先へ検査成績を提出する、品質マネジメント規格の監査を受けるといった場合は、トレーサビリティの証明が求められるので取得してください。

社内の予備確認だけに使うゲージであれば、必須ではありません。

あとから証明書だけを取ると送付と待ち時間が発生するため、用途が決まっているなら購入時に手配するほうが手間は少なくなります。

まとめ

限界ゲージを選ぶ順番は、検査する相手が穴か軸かねじかで形状を決め、図面に書かれた呼び寸法と公差域クラスをそのまま指定し、使用頻度に応じて材質と校正証明書を足す、という流れになります。刻印のH7やh7、6Hや6gは部品側の指示を写したものなので、大文字と小文字、数字の並びまで図面と突き合わせてください。

そして買ったあとに判定を狂わせるのは、通り側の摩耗と温度です。ぜひ本記事の確認項目と管理のしかたを参考に、図面指示に合った限界ゲージを選び、点検の間隔まで決めたうえで使い始めてください。

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