SHARE:

けがき針の選び方|超硬チップと先端角度の違いと用途

アルミ板に油性ペンで引いた線は、切削油の付いた手で触れた時点でにじみます。

けがき針は針先で面に細い傷を付けて線にするため、加工の途中でこすっても消えません。

シンワ測定の「パス・ゲージ・ケガキツール」の一覧にはA〜Eの型式が並び、78638のケガキ針A 六角型、78654のCペンシル型、74445のEペン型というように、持ち手の形で分かれています。

ただし公式の一覧に載っているのは品名と型式までで、材質も先端の角度も書かれていません。

本記事では、けがき針の正体・鉛筆やペンで代用できない場面・型式A〜Eの違い・併用するポンチやコンパスを解説します。

GOOD DIY編集部

測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。

※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。

けがき針とは金属面に線を引く針

けがき針は、金属やプラスチックの面に加工の基準線を引くための針で、スクライバとも呼ばれます。鉛筆のように粉を乗せるのではなく、針先で母材の表面を浅く削って線にするので、インクや芯のように拭き取れません。

この「消えない」という性質が、そのまま利点と代償の両方になります。

切削油をかけながら削っても、ヤスリで削りながら形を追い込んでも線は残ります。

反対に、寸法を間違えて引いた線も残るので、仕上がり面に出る位置へ不用意に引くと傷として残ってしまいます。

名前が似ているため混同されやすいのですが、建築現場で床や壁に基準線を打つ墨つぼやレーザー墨出し器とは用途が別の道具です。

けがき針が受け持つのは、板金や機械部品のように、ミリ単位より細かい線で加工位置を示したい場面になります。

定盤(じょうばん)の上で高さをそろえて線を引く作業なら、トースカンの使い方とハイトゲージとの違いで解説しているように、けがき針を手で持つのではなく台座付きの道具を使います。

けがき針が要るのは鉛筆の線では消える場面

鉛筆やマーカーで足りるかどうかは、線を引いたあとに面をどれだけ触るかで決まります。

木材の切断のように一度引いて即座に切るなら鉛筆で足りますが、金属加工では線を引いてから切る・削る・曲げるまでの間に、手も工具も何度も同じ面を通ります。

そのときに消えないのがけがき線の役目です。

具体的には、板金を切り出す輪郭、穴あけ位置の交点、曲げ線、ヤスリで追い込む仕上げ寸法の目印などが対象になります。ステンレスやアルミの地肌はマーカーのインクをはじきやすく、線幅も太くなるため、0.5mm単位で位置を出したい穴の中心をペンで示すのは現実的ではありません。

一方で、けがき針を使わないほうがよい面もあります。

そのまま製品の外観になる面、めっきや塗装をしない仕上げ面、薄い化粧板などです。

傷が残って困る面に印を付けたいなら、マスキングテープを貼ってその上に線を引く方法のほうが安全です。

けがき針の使い方は定規の押さえ方で決まる

線がぶれる原因のほとんどは針先ではなく、当てている直定規やスコヤの浮きです。まず面の切粉と油を拭き取り、定規を面に密着させて、動かない重さで押さえるところから始めてください。

針は進行方向へ倒して引く

針を面に垂直に立てると先端が食い込み、定規から離れる方向に逃げます。

進行方向へわずかに倒し、定規の側面に針の胴を沿わせて、手前から奥へ一度で引き切ります。

何度もなぞると線が太くなるうえ、二本目の線が初めの線からずれて、どちらを基準にしたのか分からなくなります。

線が見えにくいときは下地を暗くする

アルミやステンレスの地肌では、引いた線が光って読みにくいことがあります。けがき用の塗料(青ニス)やマーカーで面を塗ってから引くと、削れた部分だけ地金の色が出るので線がはっきりします。

持ち運びでは先端の扱いに注意してください。

けがき針は鉛筆より鋭く、エプロンの胸ポケットや腰袋に裸で挿すと、しゃがんだ拍子に刺さります。

キャップ付きの製品ならキャップを戻し、無い場合は先端を下にして筒に入れて運ぶのが無難です。

型式A〜Eの違いは持ち手の形

シンワ測定のケガキ針は、公式の製品一覧でA〜Eの5型式が並んでいます。

一覧に記載があるのは品名と型式までで、材質・先端角度・全長は載っていません。

そのため型式から読み取れるのは、持ち手の形の違いだけになります。

型式型番品名から分かる形
A78638六角型の軸。転がりにくい握り
B78646KW型とのみ表記。形状は公式に記載なし
C78654ペンシル型
D74444型式名のみ。形状は公式に記載なし
E74445ペン型

選ぶときに確かめたいのは、握りの太さと携帯のしかたです。

定盤や作業台に置いて使うことが多いなら六角型のA(78638)のように転がらない軸が扱いやすく、ポケットに挿して持ち歩くならペン型のE(74445)やペンシル型のC(78654)のほうが収まります。

先端が交換式か固定かは一覧に書かれていないため、店頭の表示か製品本体のパッケージで確認してください。

けがき針と一緒に使うポンチとコンパス

けがき線を引いただけでは、ドリルの刃先は交点に止まりません。

穴あけの前には交点にポンチでくぼみを付けます。

シンワ測定の同じ区分にはオートポンチの77317(M)と77318(L)があり、押し込むだけで打てるのでハンマーを持たずに済みます。

円や円弧を引くなら鋼製コンパスです。

A-2からF-2まで型番に「-2」が付くものは超硬チップ付きとして区別されており、硬い面に線を引く用途ならここが確認できる点になります。

中心からの距離を写し取る片パス、厚みや外径を移す外パス、内径を移す内パスも同じ区分に並びます。

丸太に切断線を回すダブルスクライバー77590のように、用途を絞った製品もあります。

寸法そのものを決める道具は別に必要です。

けがく位置をどこにするかは、ノギスの最小読取値と測る場所で決まる選び方で解説している測り方で先に確定させ、けがき針はその位置を面に写す役に徹するのが順序になります。

定盤上で高さを基準に線を回す作業なら、ハイトゲージの測定範囲とスクライバの精度で解説しているように、測るのと引くのを一台で済ませる方法もあります。

よくある質問

けがき針とスクライバは別の道具か

同じ道具を指す呼び方です。

シンワ測定は製品名を「ケガキ針」としていますが、機械加工の現場や輸入工具の表記ではスクライバと呼ばれます。

どちらの名前で検索しても、面に傷を付けて線を引く針が出てきます。

引いた線を間違えたら消せるか

線は母材の表面を削った傷なので、拭いても落ちません。

ヤスリや耐水ペーパーで表面を均せば目立たなくなりますが、そのぶん板厚や平面が減ります。

初めての材料では、端材か仕上がりに出ない裏面で一本引いて、線の太さと見え方を確かめてから本番の面に引いてください。

ステンレスや焼き入れ鋼にも使えるか

シンワ測定の製品一覧にはケガキ針の材質と硬度が記載されていないため、どこまでの硬さの材料に耐えるかは分かりません。硬い材料で確実に線を引きたいなら、超硬チップの有無が型番で判別できる鋼製コンパスのA-2〜F-2のように、仕様が確認できる製品を選ぶほうが確実です。

ノギスの爪でけがいてもよいか

すすめられません。

ノギスの測定面が摩耗すると、そのあとの寸法が合わなくなります。

測るのは測定器、線を引くのはけがき針と分けて、測った値を一度けがき針で面に写してから加工に入ってください。

まとめ

けがき針が要るかどうかは、線を引いてから加工が終わるまでに、その面を何回こするかで決まります。

切削油や手が何度も通る金属加工では、鉛筆やマーカーの線は残りません。

型式A〜Eの違いは持ち手の形にとどまり、材質や先端角度は公式に書かれていないため、握りやすさと持ち運び方で選べば足ります。

ぜひ本記事の使い方の手順と併用する道具の組み合わせを参考に、手元の作業に合う一本を選んでください。

あなたへのおすすめ