ノギスで内径を測る手順|クチバシの当て方と誤差の出方
ノギスで内径を測るとき、穴に当てて最初に読んだ数値は、ほぼ必ず実際より小さく出ます。
穴の直径は内側測定用ジョウ(くちばし)が穴の中で取れる最大の間隔なので、軽く接触させたまま少し振って最大値を探すところまでが一手順です。
もう一つ外れやすいのが、小さい穴も測れるという前提です。
くちばしには厚みがあり、一般的な150mmの標準形ノギスでは合計10mm前後より小さい穴には入りません。
最小読取値0.05mmの機械式なら、目線の高さが違うだけで1目盛ぶん読み違えます。
本記事では、内径を測る手順・読み違えたまま加工したときの実害・ノギスでは測れない穴径の見分け方を解説します。

GOOD DIY編集部
測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
ノギスで内径を測る手順は、最大値を探すところまで
内径測定に使うのは、本体の上側から伸びている内側測定用ジョウです。
外径を測る下側の大きなジョウとは別物で、先端が細い刃状になっています。
手順は次の4つです。
- ジョウを閉じた状態で穴に差し込む。先に広げてから入れると、入口の縁を削ったり先端を曲げたりします
- 穴の口に本体の測定面側を沿わせ、穴の軸に対して直角の姿勢を作る。傾いたまま測ると、斜めに渡した分だけ値が大きく出ます
- スライダをゆっくり開き、両側の刃が内壁に軽く触れたところで止める。押し広げると本尺がたわみ、数値が伸びます
- 接触を保ったまま上下左右に小さく振り、いちばん大きい値を読む
4つ目が内径測定の中心です。
穴の中心を通らない位置で当てると、測っているのは直径ではなく弦になり、必ず小さい値になります。
中心を通ったときだけ最大になるので、最大値を探す動作が中心を通ったことの確認を兼ねます。
穴が浅い場合や面取りが大きい場合は、刃を少しだけ奥へ入れてから振ってください。
読み値にジョウの厚みを足すかどうか
現在一般に流通しているノギスは、内側測定用ジョウの厚みが本尺目盛の基点にあらかじめ織り込まれているため、読んだ値がそのまま内径になります。
古い形式のものには厚みを加算して使う仕様もあるので、手元の個体が初めてなら、既知の寸法の穴やリングで一度確かめておくと確実です。
外径・深さ・段差の当て方はノギスの使い方の手順で解説しています。
ノギスの内径測定を間違えたときの実害
内径を小さく読むと、その穴はまだ足りないと判断して追加で削ることになります。
穴は広げたら戻せないため、ここでの読み違いは作り直しに直結します。
逆に大きく読めば、必要な仕上げをしないまま次の工程へ流れ、軸を入れた段階でガタが出ます。
読み違いの幅も実感より大きく効きます。
直径20mm前後の穴をH7で管理する場合、許される公差は0.021mmです。
最小読取値0.05mmのノギスは、1目盛がこの公差の倍以上あります。
つまりはめあい公差で管理された穴は、そもそもノギスの内径測定では合否を判定できません。
ノギスで出せるのは「おおよそ何ミリの穴か」までで、圧入代やすきま量の管理は別の道具の仕事になります。
ベアリングやブッシュの圧入では、0.01mm単位のしめしろで入るかどうかが変わります。入らないだけなら測り直せますが、無理に打ち込めば外輪が変形して回転が渋くなり、部品も使えなくなります。
内径の測り方でよくある失敗と直し方
ジョウが傾いて値が大きく出る
穴に入れた刃が穴の軸と直角になっていないと、斜めの線を測ることになるので実寸より長く出ます。
手首だけで保持すると起きやすいので、本体の平らな面を穴の口に当てて姿勢の基準にしてください。
それでも不安なら、同じ穴を90°ずらした方向からもう一度測り、値が揃うかを見ます。
入口の面取りやバリを拾う
穴の縁にC面が付いていたり、加工直後でバリが残っていたりすると、入口付近は本来の径より広がっています。
刃を浅く入れたままだとこの部分を測ってしまうため、面取りの幅より奥へ入れてから接触させます。
バリが明らかなら、測る前に落としておくほうが早いです。
切粉や油膜を挟んだまま読む
刃の先端は接触面積が小さいので、細かい切粉が1粒挟まるだけで数値が動きます。
穴の内壁と刃の両方を拭いてから測り、同じ穴で2回測って値が一致しない場合は、まず清掃を疑ってください。
切削油が厚く残っている穴も、測るたびに値がばらつきます。
ノギスでは測れない内径と、そのときに使う道具
測れない穴は3タイプあります。
くちばしの合計厚みより小さい穴、くちばしの長さより深い位置の穴、そして0.01mm単位の管理が要る穴です。
1つ目と2つ目は機種の仕様で決まるので、カタログの最小測定内径とジョウの寸法を確認してください。
測定範囲ごとの違いはノギスのサイズの選び方で解説しています。
小径の穴を数多く確認するなら、ピンゲージが扱いやすい方法です。
入るか入らないかで判定するため、読み取りの技量に左右されません。
精度の要る穴径を数値で押さえたい場合は、内側マイクロメーターか、シリンダゲージで振れを拾って外側マイクロメーターで読む組み合わせになります。
測定範囲と0.001mm表示の要否はマイクロメーターの選び方で解説しています。
深い穴は、ノギスのくちばしが届く範囲しか測れません。奥で径が変わっているテーパー穴や、途中で摩耗した軸受の穴は、入口だけ測っても実態が分からないので、最初からシリンダゲージを選んでください。
ノギスのゼロ点は測る前に毎回確認する
外側ジョウを静かに閉じ、明るい方へかざして測定面の合わせ目を見ます。
隙間から光が線になって見えるなら、汚れが挟まっているか、ジョウが摩耗しています。
機械式なら本尺と副尺の0が一致しているか、デジタル式なら表示が0.00になっているかもあわせて見てください。
デジタル式でゼロリセットを押すのは、ジョウを完全に閉じた状態のときだけです。
穴に入れた状態で押すと、以降の測定値がすべてその位置からの差になります。
落としたあとは、カタログの精度が保たれているとは限りません。
外見に傷がなくても、ジョウの平行度は狂います。
既知寸法のブロックゲージやリングゲージで確認できるならそこで判断し、できないなら点検に出すのが確実です。
校正の間隔は使用頻度と求める精度で変わるため、一律の年数は決められません。
毎日使う個体と、年に数回の個体を同じ扱いにはできないということです。
長時間握りっぱなしにするのも避けてください。手の熱で本尺が伸び、精密な読み取りでは差になります。
アナログ目盛とデジタル表示で変わる読み取り
機械式(バーニヤ目盛)は電池が不要で、当てた瞬間に値が確定します。
一方で読み取りには姿勢が要り、目盛を斜めから見ると視差で1目盛ずれます。
内径測定では穴に刃を入れたまま読むため、目線を目盛の真上に持っていきにくい場面が出てきます。
そのときはスライダの固定ねじで止めてから、楽な姿勢で読んでください。
最小読取値が0.05mmか0.02mkか、どちらの個体かも先に確認しておきます。
デジタル式は数値をそのまま読めるので、穴の中で振って最大値を探す作業と相性が良く、ホールド機能があれば値を保持したまま抜けます。
代わりに電池が切れれば止まり、長時間つけたままだと表示が緩やかにずれることがあります。
測る前にゼロを確認する習慣は、デジタルのほうがむしろ重要になります。
両方式の違いはシンワ測定のノギスのデジタルとアナログの選び方で解説しています。
よくある質問
内径を測ると図面より小さい値になります
穴の中心を通らない位置で測っている可能性が高いです。
接触を保ったまま刃を上下左右に振り、いちばん大きい値を採用してください。
何度やっても小さいままなら、穴そのものが規格外か、刃が面取り部ではなく途中の段差に当たっています。
10mm以下の穴はどうやって測りますか
標準形のノギスでは、内側測定用ジョウが入らないので測れません。
ピンゲージで入るか入らないかを判定するか、小径穴に対応した測定範囲の機種を選びます。
機種ごとの最小測定内径は仕様に書かれているので、購入前に確認してください。
ノギスの内径測定はどのくらい信用できますか
読み取りの数値そのものより、刃の姿勢と接触の仕方で差が出ます。
外径測定より誤差が出やすい測り方なので、0.01mm単位のはめあい管理には使えません。
おおよその穴径を押さえる用途と割り切り、公差の判定には内側マイクロメーターやシリンダゲージを使ってください。
同じ穴を測るたびに値が変わります
切粉や油膜、刃の押し込みすぎ、姿勢の崩れのいずれかです。
穴と刃を拭いてから、同じ姿勢で3回測って比べると原因を切り分けられます。
測るたびに大きい側へ動くなら押し広げており、ばらばらに動くなら清掃不足を疑います。
まとめ
内径は、刃を軽く接触させたまま振って最大値を読むところまでが一手順で、一度当てて読んだ値は小さく出ます。
穴の軸に対して直角の姿勢を作ること、面取りより奥で当てること、押し広げないこと。
この3つを守れば、ノギスで出せる範囲の精度は安定します。
そのうえで、はめあい公差の判定までは背負えない道具だと理解しておくと、作り直しを避けられます。
測定範囲や最小読取値から選び直したい場合はノギスの選び方で解説していますので、ぜひ手元の個体の最小測定内径を確かめてから、次の穴を測ってみてください。



