エアコン取り付けの水平器は?室内機の勾配の取り方と注意点
エアコンの室内機は、完全な水平に据えるのが正しいとはなりません。ドレンパンにたまった水はポンプではなく重力でホースへ流れるので、配管を出す側が上がっていると室内側へ逆流します。
そして水平器を当てる相手も、本体の前面パネルではありません。
壁に留める据付板の上面と、本体を掛けたあとの金属部分です。
樹脂のパネルは押せばたわみますし、本体に対して必ずしも平行に付いていません。
道具としては300mm前後の水平器が1本あれば足ります。
本記事では、室内機と室外機で水平器を当てる位置・完全な水平に据えたときに出る水漏れ・気泡管式とデジタル式で変わる読み方を解説します。

GOOD DIY編集部
測る道具の選び方の専門メディア。レーザー墨出し器・水平器・ノギスから測量機器まで、メーカー公式資料で確認した仕様と廃番型番を掲載。カタログの数値の読み方から、自分の作業に合う機種の選び方を解説します。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
エアコンの据え付けで水平器を当てるのは3か所
当てる場所は、室内機の据付板、掛けたあとの室内機本体、室外機の底面側の3か所です。
順番を入れ替えると後戻りが増えます。
据付板をビスで留めてしまってから傾きに気づくと、壁に穴が残るためです。
なお室内機をどちら側へどれだけ傾けるかは機種ごとに決まっているので、作業前に必ずメーカーの据付説明書を確認してください。
据付板はビスを本締めする前に当てる
据付板を壁に仮留めした段階で、上端の水平な縁に水平器を載せます。
300mm前後の水平器だと板の全幅には届かないので、左端・中央・右端と位置をずらして3回読んでください。
1か所だけで判断すると、壁の不陸(下地の凹凸)を拾ったまま固定してしまいます。
読みが揃ったらビスを本締めし、締めたあとにもう一度当てます。
締め込みで板が引き寄せられて傾くことがあるためです。
室内機を掛けたら上面の金属部分で確認する
本体を据付板に引っ掛けたあと、上面の金属が露出している部分か、前面パネルを開けた内側の縁に当てます。
ここで見たいのは水平そのものではなく、配管を出す側が上がっていないかどうかです。
気泡が中央から配管側へわずかに寄っているのが正常な状態で、反対側へ寄っていたら掛け直してください。
室外機は前後と左右の2方向で読む
室外機は天板か据え付けたあとの枠に当てて、前後方向と左右方向の両方を読みます。
片方向だけ合わせても、もう一方が傾いていれば脚にかかる荷重が偏ります。
ベランダ置きで床面に勾配が付いている場合は、プラブロックの下にパッキンをかませて調整します。
完全な水平に据えるとドレン水が逆流する
室内機をきれいな水平に合わせると、ドレンパンの水はホースの入口まで流れても、そこから先へ落ちていきません。
たまった水は吹き出し口やルーバーの隙間からあふれ、壁紙に筋状のしみを残します。
夏場は結露水が連続して発生するので、少量の逆流でも短時間で床まで届きます。
傾け過ぎも別の不具合を招きます。
本体が据付板から浮いて上端に隙間ができたり、フィルターの出し入れが渋くなったりします。
見た目にも分かるほど傾いていれば、壁面の通りと比べたときに違和感として残ります。
室外機側では、傾きがそのまま振動と騒音になって出てきます。
四隅のうち1点が浮いた状態で運転すると、圧縮機の振動がブロックを叩く音として伝わります。
暖房時の霜取りで出る水の流れ先も変わるため、通路側へ排水が回ることがあります。
室内機の前面パネルと室外機の防振ゴムで読みを間違える
作業そのものは単純なのに読みを外すのは、当てる面を選び間違えたときと、沈み込みが止まる前に読んだときです。
前面パネルは基準面にならない
前面の樹脂パネルは、開閉のためのクリアランスを持って取り付いています。
手で軽く押すとたわみますし、上端と下端で本体との隙間が違うこともあります。
ここに水平器を載せて気泡が中央にきても、本体が水平である保証はありません。
金属部分か据付板の縁で読んでください。
防振ゴムは置いた直後と沈んだあとで違う
室外機を防振ゴムやプラブロックに載せると、重量で沈み込みます。
置いた直後に水平を出しても、数時間後には傾いていることがあります。
配管接続と真空引きを終えて本体に冷媒とオイルが回ったあと、もう一度当て直すのが確実です。
水漏れの原因が傾きとは限らない
既設機から水が垂れている場合、傾きより先に疑うのはドレンホースです。
ホースの先端が土やほこりで詰まる、途中が持ち上がって水がたまる、屋外で潰れて折れる。
いずれも室内機側の水位を上げます。
傾きを測るのは、ホースの通りと先端を確認したあとで構いません。
水平器は300mm前後を1本、代用品で測れる範囲
据付板も室外機の天板も、300mm程度あれば面として読めます。
100mmの小型では凹凸を拾いやすく、600mmは脚立の上で取り回しに困ります。
精度はカタログ表記で1.00mm/m前後の製品が一般的で、タジマのボックスレベルは水平±1.00mm/m(±0.0573°以内)、マーベルの電工レベルML-200Mは0.50mm/mです。
エアコンの据え付けでは0.5〜1.0mm/mの範囲なら十分です。
水平器の方式や精度表記の読み方そのものは、水平器と水準器の違いと選び方の5つの軸で解説しています。
マグネット付きは室外機の天板や室内機の金属部分に貼り付けられるので、片手が空きます。ただし鉄粉を吸いやすく、当たり面に付いた粉が測定面を浮かせるため、当てる前に測定面を手で拭ってください。
手元に無いときの代用は、測れる範囲が限られます。
スマートフォンの傾斜計アプリは本体の筐体(きょうたい)が基準なので、ケースを付けたままでは数値がずれます。
向きを反転させて同じ値が出るか確かめれば、傾いている向きの判断には使えます。
浅い容器に水を張る方法も、向きは分かりますが1mm単位の読みには使えません。
安価な製品で間に合わせたい場合の選択肢は、ダイソーの水平器の種類と使える作業の範囲で解説しています。
気泡管式とデジタル式でエアコンの手順はどう変わるか
気泡管式は目線の高さで読みが変わる
気泡管は当てた瞬間に読めて電池も要りませんが、斜めから見ると気泡の位置がずれて見えます。
室内機は目線より高い位置にあるため、脚立の上から見下ろすか、下から見上げるかで読みが変わります。
気泡管の真正面に目がくる高さまで体を動かしてから読んでください。
脚立を使うときは、4本の脚が全部床に接地しているかを昇る前に確かめます。
デジタル式は数値が止まってから読む
デジタル式は角度を数値で表示するので、傾けた向きと量を同時に把握できます。
置いた直後は値が動くため、表示が止まってから読んでください。
電池が切れれば何も読めなくなるので、屋外作業の前に残量を見ておきます。
精度の確認は、同じ面で本体を180°反転させて同じ値が出るかで判断できます。
数値表示が必要になる条件はデジタル水平器の気泡管との精度差と選ぶべき人の条件で解説しています。
よくある質問
エアコンから水漏れしています。水平器で傾きを見れば原因が分かりますか
傾きは原因のひとつですが、先に確かめるのはドレンホースの詰まりと途中の立ち上がりです。
ホースの先端を掃除し、屋外部分が地面に埋まったり潰れたりしていないかを見てください。
それでも直らない場合に、室内機の上面に水平器を当てて配管側が上がっていないかを確認します。
室外機は少し傾いていても大丈夫ですか
許容される傾きの量は機種ごとに据付説明書で指定されているため、一律の数値は書けません。
四隅のどれかが浮いている状態は、量に関わらず直してください。
運転時の振動が1点に集中し、音と設置面の摩耗につながります。
エアコン専用の水平器はありますか
電工用や鳶用のような職種特化モデルはありますが、エアコン専用という区分の製品は確認できませんでした。空調設備の作業では、配管に載せられるV溝付きで、マグネットを備えた300mm前後のものが使いやすい仕様になります。
レーザー墨出し器を使ったほうが正確ですか
1台の室内機を据えるだけなら水平器で足ります。
レーザー墨出し器が有利なのは、複数台を同じ高さに並べる場合や、長い配管の勾配を一度に見る場合です。
機種の選び分けはレーザー墨出し器の選び方の6つの軸で解説しています。
まとめ
エアコンの据え付けで水平器を当てるのは、据付板の上端、掛けたあとの室内機の金属部分、室外機の天板の3か所です。
室内機は完全な水平ではなく、配管を出す側が上がっていない状態に合わせます。
前面パネルに当てても本体の傾きは分かりませんし、防振ゴムの沈み込みが止まる前の読みも当てになりません。
必要な仕様は300mm前後の長さと、金属面に貼れるマグネット、それに0.5〜1.0mm/mの精度表記までです。ぜひ本記事の当てる位置と読み方を参考に、据え付けの前後で2回確認してください。



